高血圧を抑えるには、ミネラルや食物繊維を多く含む食事を取り入れ、食塩や動物性油脂の摂取を控えることが重要です。本記事では、血圧を下げる食事や上げる食事、効果的な食べ方のポイント、さらに日常生活での注意点について詳しく解説します。
血圧を下げる食事とは?
血圧を下げるための食事には、ミネラルや食物繊維、良質なたんぱく質が含まれる食材が有効です。ただし、それ以外にもさまざまな栄養素を摂る必要があるため、特定の栄養素に偏らず、バランスの良い食事を心がけることが重要です。血圧を下げるために有効な成分と、その成分が含まれる食材についてみていきましょう。
1.ミネラル:カリウム・カルシウム・マグネシウム
野菜や果物に多く含まれるカリウムには、血中のナトリウムを尿に排泄させるはたらきがあります。ただし水溶性なので、生の場合には水に浸けたままにしないようにしましょう。調理する場合には、スープや汁物にすると効率よく食べられます。
牛乳や大豆製品に多く含まれるカルシウムや、ナッツ類に多く含まれるマグネシウムの役目は、血管を拡げることです。熱量に注意しながら、食べるようにしましょう。
2.食物繊維
きのこや海藻類に豊富に含まれる食物繊維には、ナトリウムを包み込んで排泄するはたらきがあります。特に海藻類に多い水溶性食物繊維には、その効果があります。
3.良質なたんぱく質
良質なたんぱく質は、強くて弾力性のある血管を作ります。大豆製品などの植物性のたんぱく質には降圧作用、納豆には血栓を溶かす働きがあります。植物性のたんぱく質に偏らず、毎食違う種類のものをバランスよく食べましょう。
血圧を上げる食事とは?
高血圧症の方が控えたい食事には、まず食塩が挙げられます。また、動物性脂肪も動脈硬化を進行させる原因となるため、注意が必要です。
1.食塩
食塩を摂取しすぎると血圧が上がるのは、高くなった血液中の塩分濃度を下げるために、水分をため込み血管へかかる圧力が増すからです。
熱中症対策のために適量の食塩摂取は必要ですが、過量は禁物です。日本をはじめとする各国のガイドラインでは、高血圧の治療や予防ために6 g/日未満の食塩摂取量が望ましいとされています。
2.動物性脂肪
食事に含まれる動物性脂肪、例えばバターや肉の脂身は、血液中のコレステロールを増やす原因になります。コレステロールや脂肪が多い血液はドロドロとして流れにくく、傷ついた血管に溜まりやすいため、動脈硬化の進行につながります。
動脈硬化を予防するためには、食事に植物性脂肪やいわしやさんまなどの魚油を取り入れるようにしましょう。
血圧を下げるための食事のポイント3つ
食材に気をつけるだけでなく食べ方を工夫することで、高血圧によい食事を長期間、継続できます。
血圧を下げるための食べ方のポイントは以下の3つです。
- 食べる順番を工夫する
- 塩味だけでない味覚を楽しむ
- 外食では「汁は残す」「単品は避ける」など工夫する
塩気のあるものとないものを交互に食べましょう。塩味の少ない料理も、物足りなさを感じにくくなります。色、歯ごたえなど五感で料理を楽しみ、旨味や甘味、酸味などの塩味以外の味覚を活用するとバラエティに富んだ食事ができます。
外食では自分なりの工夫をすることで、高血圧にベストではなくともベターの食事ができます。
高血圧症の日常生活における注意点5つ
高血圧症では、食べ物以外にも日常生活で注意した方がよいことがあります。
1.適正体重を維持する
太っていると、そうでない人に比べ、高血圧を発症するリスクが約3倍と言われています。食べ過ぎによるエネルギーの過剰摂取に注意し、ゆっくりよく噛んで食べるよう心がけましょう。
適正体重は以下の式で求められます。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
身長が160cmの場合、以下のように計算します。
1.6(m)×1.6(m)×22≒56.3(㎏)
自分の適正体重を知り、維持するようにしましょう。
2.運動習慣を持つ
高血圧などの生活習慣病予防や治療には、速歩、ステップ運動、スロージョギング、ランニングなどの有酸素運動を1回につき10分以上、1日合計40分以上することが推奨されています。
脳血管病を合併している場合などは事前に医師に相談して、適切な運動量を設定しましょう。医師の判断によっては、運動が禁止されたり、運動量が制限されたりする可能性があります。
3.アルコールを控える
飲酒の習慣は血圧上昇の原因になります。大量のアルコールは高血圧だけでなく、アルコール性心筋症、心房細動、夜間睡眠時無呼吸症候群、がんの原因にもなり死亡率も高めます。
高血圧管理では以下の量以下に制限することが推奨されています。
- 男性:エタノール20~30mL/日
- 女性:エタノール10~20mL/日
エタノール20~30mLは、おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキーダブル1杯、ワイン2杯相当です。女性は男性の約半分です。
4.禁煙する
喫煙は、交感神経活動の亢進や酸化ストレスの増大、血管収縮作用により、動脈硬化を引き起こすとされています。また、喫煙は高血圧を介するだけでなく、脳血管疾患の発症リスクも高める危険因子です。
喫煙の影響は周囲の人へも及ぶと言われていますが、受動喫煙が高血圧の原因となるかどうかについては検討が必要な事項とされています。
5.正しい方法で血圧を測る
血圧は測定方法次第で数値が大きく変わります。少しの心身の動きや環境変化にも敏感に反応するからです。
測定タイミングと回数
血圧は朝起床後1時間以内(排尿後、朝食前)と、就寝前の1日2回、できるだけ同じ時刻に測定します。
測定姿勢
椅子に座り、背筋を伸ばした状態で、5~6回深呼吸しリラックスしてから測定しましょう。寝て測る場合は、あお向けになり手のひらを上に向け、腕を伸ばします。
想定部位と腕帯の巻き方
左右の違いでも血圧には差が出てしまうので、毎回同じ腕で測定します。原則、利き腕ではない方の腕を使います。カフ(腕帯)は、肘の関節の上から1~2㎝に、チューブが手のひら側になるように巻き付けるのが適切な方法です。
高血圧は食事に注意して治療や予防しよう!
血圧を下げる食事や上げる食事、血圧を下げるための食べ方のポイント、高血圧症の日常生活における注意点について、解説してきました。
高血圧を下げる食事にはミネラルや食物繊維、上げる食事には食塩や動物性油脂などがあげられます。食べ方や日常生活上で注意しながら、下げる食事をし、上げる食事を控えて効果的に治療や予防をしましょう。
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