糖尿病が疑われる場合、血液検査や尿検査が代表的な診断方法です。糖尿病を確認するには、慢性的な高血糖状態の有無が重要で、必要に応じて追加検査や再検査も行われます。本記事では、糖尿病検査の基準値や診断基準について詳しく解説します。
糖尿病が疑われる場合の検査とは?
糖尿病が疑われる場合の代表的検査には、以下の2つがあります。
1.糖尿病の血液検査
血液検査ではおもに以下の値を見ます。
- 血糖値:血液中のブドウ糖濃度(空腹時、随時)
- ヘモグロビンA1c:過去1~2か月間のブドウ糖濃度のコントロール状態
これらの検査結果で糖尿病かどうかがわからない場合などには、別の日に経口糖負荷試験(OGTT)をする場合もあります。OGTTはブドウ糖の入った飲み物を飲んで、その後の糖処理能力を調べる検査です。軽い糖代謝異常の有無もわかる鋭敏な検査法です。
2.糖尿病の尿検査
尿検査では、尿中のブドウ糖濃度がわかります。
糖尿病検査の基準値
ここでは、糖尿病やその高リスク群を検出する、検診での糖尿病検査の基準値について解説します。
1.糖尿病の血液検査の基準値
糖尿病の検診での血液検査の基準値は、以下のとおりです。
空腹時血糖値(mg/dL) | ヘモグロビンA1c値(%) (NGSP) | |
---|---|---|
正常 | 100~109 | 5.6~5.9 |
境界型 | 110~125 | 6.0~6.4 |
糖尿病が疑われる | ≧126 | ≧6.5 |
境界型の場合にはできるだけOGTTを実施するようにします。その結果を見て境界型であれば生活習慣の改善、糖尿病が強く疑われる場合は医療機関を受診することをすすめます。
2.糖尿病の尿検査の基準値
尿糖とは尿中のブドウ糖濃度のことで、その基準値は陰性(-)で、擬陽性(±)や陽性(+)の場合に糖尿病の疑いがあるとされます。一般的に、血糖値160〜180mg/dl以上で陽性になるといわれています。
糖尿病の診断基準
糖尿病の診断には慢性高血糖状態の確認が不可欠です。
初回検査で以下のような場合には、「糖尿病型」と判定します。別の日に再検査し、再度「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断します。ただし、初回検査、再検査で2回ともヘモグロビンA1c値が基準値を上回った場合でも、他の血糖値が基準値内であれば糖尿病とは診断されません。というのは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や腎不全など糖尿病でなくてもヘモグロビンA1cは高くなることがあるからです。
- 空腹時血糖値≧126mg/dl
- 75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値≧200mg/dl
- 随時血糖値≧200mg/dl
- ヘモグロビンA1c値≧6.5%(NGSP)
血糖値とヘモグロビンA1c値が同時に糖尿病型の場合は、初回検査だけで糖尿病と診断されます。
またヘモグロビンA1c値以外の血糖値が糖尿病型で、以下のような症状がある場合も初回検査だけで糖尿病と診断されます。
- 口渇や多飲、多尿、体重減少など糖尿病の典型的な症状がある
- 視力の低下や視界がかすむなど糖尿病網膜症の症状が確認できる
上記だけで診断が確定しない場合には、3~6か月後に再検査するようにします。
糖尿病の検査の費用と所要時間
ここでは糖尿病の検査にかかる費用と時間について、説明します。
1.糖尿病の検査の費用
医療機関を受診した場合には保険診療になります。自己負担3割の方であれば、医師の診察料なども含めて、約3,000円が目安です。
2.糖尿病の検査の所要時間
受診する医療機関によって所要時間は異なります。
自前の検査室を持つ医療機関では、血糖値やヘモグロビンA1c値であれば、約1時間で結果が出ます。そのため、検査当日に結果を聞きながら、指導を受けることも可能です。
そのような医療機関でない場合には、検査業務をどこへ頼んでいるかによって違います。近隣の検査機関へ依頼している場合には早くて翌日、地域によってはそれ以上かかります。
糖尿病のその他の検査
ここでは糖尿病のその他の検査について、解説します。
糖尿病の合併症検査
高血糖状態が継続していると、血管がダメージを受けるので、合併症が起こりやすくなります。糖尿病だといわれたら、血糖管理だけでなく、合併症の検査も受けるようにしましょう。
糖尿病の代表的な合併症検査は、以下のとおりです。
- 血管の検査: 動脈硬化・血管年齢検査(ABI)、頚動脈超音波(エコー)検査
- 糖尿病腎症の検査:尿中微量アルブミン検査、尿中アルブミン濃度
- 眼底検査
血管の検査では動脈硬化の進行度がわかります。動脈硬化が進行すると下肢切断や脳血管障害、心筋梗塞などの起こるリスクが高まります。糖尿病腎症が進行した場合にするのが、透析や腎移植治療です。
糖尿病網膜症は、視力障害にとどまらず、失明の危険もある疾患です。簡単な検査で糖尿病の進行度もわかります。糖尿病と診断されたら、眼科を受診し定期的に受けるようにした方がよい検査です。
糖尿病を指摘されたら、まず医療機関へ行こう!
糖尿病検査の基準値、糖尿病の診断基準などについて解説してきました。
糖尿病が疑われる場合の代表的な検査には、血液検査や尿検査があります。糖尿病と診断するには、慢性の高血糖状態の確認が必要なので、必要に応じて他の検査や再検査もします。
糖尿病治療の目的は合併症予防です。合併症そのものを検査する方法もありますが、糖尿病を指摘されたら、まず医療機関へ行きましょう。
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