コラム

睡眠時無呼吸症候群の4つの治療|治療が必要と考えられる徴候も解説

睡眠時無呼吸症候群とは、肥満などが原因により睡眠中に気道が塞がり、一定時間無呼吸が発生してしまう病気です。睡眠時無呼吸症候群は、放置すると高血圧や脂質異常症などを引き起こし、さまざまな病気のリスクを高めるため早期に治療することが大切です。本記事では、睡眠時無呼吸症候群の4つの治療方法を解説します。

睡眠時無呼吸症候群の治療が必要と考えられる徴候

睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかどうかを判断するための信頼性の高い尺度として、以下のような日中の眠気を評価するエプワース眠気尺度(ESS)問診票があります。

よく眠くなるときおり眠くなるたまに眠くなる眠くならない
座って本を読んでいるとき3210
テレビを見ているとき3210
人が多い場所で座っているとき3210
自分が運転しない車に1時間以上座っているとき3210
午後から横になっているとき3210
座って人と会話しているとき3210
昼食後座っているとき(お酒は飲んでいない)3210
運転中に渋滞などで数分間止まっているとき3210
5点未満日中の眠気はあまりない
5〜10点日中に眠気が少しある
11点以上日中に強い眠気がある

11点以上であると睡眠時無呼吸症候群が疑われます。その他にも、以下のような症状が現れている方は要注意です。

  • 大きないびき
  • 起床時の頭痛
  • 熟睡感のなさ
  • 日中の体のだるさ
  • 集中力の低下
  • 夜間の頻尿
  • 夜間の汗

以上のような症状が現れている方と点数が高い方は検査を受けてみましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療で期待されること

睡眠時無呼吸症候群を適切に治療すると、日中の眠気による仕事のミスや車の事故だけでなく、以下のようなさまざまな合併症の発症リスクが軽減できます。

合併症詳細
高血圧血管の圧力が基準よりも高い状態。
糖尿病血糖値のコントロールができなくなり血液中の糖の量が基準よりも多くなる病気。
脂質異常症血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の量が基準よりも多くなっている状態。
高尿酸血症血液中の尿酸の量が基準よりも多くなっている状態。

以上のような生活習慣病を合併すると、脳卒中(のうそっちゅう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)を引き起こすリスクが高まります。合併症を引き起こす前に、早期に治療を始めましょう。

睡眠時無呼吸症候群の主な4つの治療

睡眠時無呼吸症候群の主な4つの治療方法は以下の通りです。

  1. CPAP(シーパップ)療法
  2. 生活習慣の改善
  3. 外科的治療
  4. マウスピース

それぞれの詳細を解説します。

1.CPAP療法(中等症から重症)

CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療において最も一般的かつ有効とされています。治療の詳細は以下の通りです。

  1. 睡眠中に鼻のマスクを装着して特殊な医療機器から圧力をかけて空気を送る
  2. 圧力の力により肺に空気が流れ呼吸の停止を予防する

鼻のマスクでうまくいかない場合は、口と鼻を一緒に覆うマスクを使用することもあります。一般的にCPAPを導入する際は短期間の入院が必要です。

CPAPの導入が問題なければ、退院後も自宅で継続して使用できます。近年のCPAPの機器は小型化されており、カバンに入れて持ち運ぶことも可能です。

2.生活習慣の改善(軽症から重症)

睡眠時無呼吸症候群は、肥満が原因になっていることが多いです。そのため、以下のような生活習慣の改善が必要です。

  • 減量のために適度な運動習慣を取り入れる
  • 食べ過ぎは避けて栄養バランスのよい食事をとる
  • お酒は気道の筋肉を緩めて気道を塞いでしまうため控える。特に寝酒や深酒は避ける

なお、睡眠薬を服用している場合は、気道の筋肉をゆるめる作用をもつ種類もあるため、内服している方は医師に相談してください。

3.外科的治療(重症)

以下が原因で睡眠時無呼吸症候群が引き起こされている場合は、外科的治療を実施することがあります。

下顎が小さく舌が大きい下顎が小さく舌が大きいと、舌の付け根付近で空気が通りにくくなっていることがあり、睡眠時に無呼吸が発生する。このタイプは痩せ型の方に比較的多くみられる。
扁桃腺(へんとうせん)が肥大している喉の奥にある扁桃腺という部分の肥大により、睡眠時に気道が塞がってしまうことで呼吸が止まってしまう。成人の1/3ほどが扁桃腺の肥大により無呼吸が発生していると言われている。

4.マウスピース(軽症から中等症)

気道を広く確保するためのマウスピースを用いた治療方法もあります。マウスピースによる治療の詳細は以下の通りです。

  1. 睡眠時にマウスピースを装着することで下顎を前方へ出るように固定する
  2. 重力により落ち込んでしまっている舌も前方に移動して気道が確保できる

マウスピースは、歯科診察を受けて専用のものを作成してもらう必要があります。

生活習慣を改善して睡眠時無呼吸症候群の治療効果を高めよう

日中の強い眠気や大きないびき、起床時の頭痛などがある方は、睡眠時無呼吸症候群の恐れがあります。放置すると、脳卒中や心筋梗塞などの合併症のリスクが高まるため、早期に治療を始めることが大切です。

肥満が原因となっている場合は、生活習慣の改善も重要です。CPAP療法などを始めたとしても、状態に応じて生活習慣の改善に取り組む必要があります。「1人では運動不足や食生活の改善が続かない」という方は、医師や看護師に相談しながら食事療法や運動療法を進めましょう。

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