高血圧は、初期症状がほとんど見られないのが特徴です。合併症のリスクを高めないためには、症状が現れていない初期段階で治療を始めることが大切です。本記事では、高血圧の基本的な症状をはじめとして、急に血圧が上がった時に注意すべき5つの症状と対処方法を解説します。
高血圧の初期症状
高血圧の初期段階は、自覚症状(自分で感じることができる症状)がほとんどありません。しかし、高血圧により動脈硬化(血管の弾力性が失われていく症状)は着実に進行します。
高血圧はサイレントキラーとも呼ばれており、気づかないうちに脳や心臓、腎臓など体のあらゆる臓器で動脈硬化が進行して、さまざまな合併症のリスクが高まってしまいます。
高血圧を発症した際は、たとえ自覚症状が現れていなくても、早期に血圧をコントロールしなければなりません。
高血圧が進行すると見られる症状
高血圧が進行して、動脈硬化も進行すると下記のような症状が見られます。
- 早朝に頭痛がする
- めまいやふらつきがある
- 息苦しさを感じる
- 足が冷える
- 夜間に何度もトイレに行く
- 胸がドキドキする
上記の症状は、動脈硬化により臓器に障害が起き始めているということです。放置してしまうと、生命に関わる合併症のリスクが高まります。症状が現れたら、早期に適切な治療を受けましょう。
高血圧の合併症
高血圧により動脈硬化が進行すると、下記のような合併症のリスクが上昇します。
病名 | 詳細 |
---|---|
脳卒中(のうそっちゅう) | 脳の血管が詰まったり破れたりする病気 |
心筋梗塞 (しんきんこうそく) | 心臓の重要な血管が閉塞する病気 |
不整脈(ふせいみゃく) | 心臓のドクンドクンという拍動のリズムが乱れる病気 |
弁膜症(べんまくしょう) | 心臓にある弁に障害が起きて、血液の流れが悪くなる病気 |
腎臓病(じんぞうびょう) | 腎臓の機能が低下して、体内の老廃物の除去や尿の生成ができなくなる病気 |
上記の合併症は重症化すると生命に関わります。高血圧は症状が出ていない初期段階から、治療を進めることが大切です。
急に血圧が上がった時に注意すべき5つの症状
急に血圧が上がった時に注意すべき症状は下記の通りです。
- 悪化する頭痛
- 急な激しい息切れや息苦しさ
- 片方の手足が動かしにくい
- 突然の胸や背中の痛み
- 突然の胸が締め付けられるような痛み
それぞれの詳細を解説します。
1.悪化する頭痛
悪化する頭痛が見られた際は、高血圧性脳症(こうけつあつせいのうしょう)が引き起こされている可能性があります。高血圧性脳症とは、脳の血液の流れを調整できなくなっている状態です。
その他にも、下記の症状が見られる際は高血圧性脳症を疑ってください。
- 意識がもうろうとする
- 吐き気がする
- 吐いてしまう
- 目が見えにくい
- 手足がけいれんする
適切に治療しなければ、脳出血が起きる可能性があるため早期に治療する必要があります。
2.急な激しい息切れや息苦しさ
急な激しい息切れや息苦しさは、急性心不全が引き起こされている可能性があります。急性心不全とは、重度の高血圧などにより、急激に心臓の働きが悪くなっている状態です。
その他にも下記のような症状が見られている際は、急性心不全を疑ってください。
- 胸がドキドキする
- 足がむくんでいる
- ここ最近体重が増加していた
肺水腫(はいすいしゅ:肺に水が溜まる)が生じている場合は直ちに治療が必要です。上記のような症状が見られる際は早期に治療を受けましょう。
3.片方の手足が動かしにくい
片方の手足が動かしにくいという症状は、脳卒中が引き起こされている可能性があります。脳卒中が起きると脳に障害が起きて、さまざまな症状が見られます。その他にも下記のような症状が見られた際は脳卒中を疑ってください。
- 頭痛やめまいがする
- 舌がもつれてしゃべりにくい
- 顔の半分が動かせずしびれる
脳卒中は高血圧が大きな原因です。上記の症状が見られたら早期の治療が必要です。
4.突然の胸や背中の痛み
突然の胸や背中の痛みは、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)が引き起こされている可能性があります。大動脈解離とは、高血圧などのなんらかの原因で、体の重要な太い血管が破れてしまう病気です。
なんの前触れもなく、突然胸や背中に激しい痛みが起きます。大動脈解離が起きた場合、時間が経つごとに危険な状態になるため、早期に治療が必要です。
5.突然の胸が締め付けられるような痛み
突然の胸が締め付けられるような痛みは、急性心筋梗塞が引き起こされている可能性があります。急性心筋梗塞とは、なんらかの原因で急激に心臓の血流が閉ざされ、心臓に重大な障害が起きる病気です。
その他に下記の症状が見られた際は急性心筋梗塞を疑ってください。
- 胸を圧迫される感覚がある
- 肩や腕、首、歯に痛みが広がっていく
- 冷汗や息苦しさ、吐き気がある
急性心筋梗塞は治療が遅れることで重症化します。上記のような症状が見られたら、早期に治療する必要があります。
注意すべき症状が現れた際の対処方法
前述した症状が現れて合併症が疑われた際は、医療機関で適切な治療をしなければなりません。そのためには、集中治療室など設備の整った医療機関に緊急入院する必要があります。
しかし、強い症状により、自力で医療機関を受診したり、救急車を呼んだりすることが困難になっている可能性もあります。周囲の家族などが、救急要請を実施しなければならないケースもあるでしょう。
また、医師の診断の助けとするためにも、本人または家族がどのような症状があったかを伝えられるようにメモしておくことも大切です。
血圧が高いと出る症状が現れる前に早期治療を
高血圧は初期段階では、ほとんどの場合自覚症状が見られません。しかし、症状がないからといって放置しないことが大切です。
放置してしまうと動脈硬化が進行して、さまざまな合併症のリスクが高まるためです。危険な症状や合併症が起きるリスクを高めないためにも、早期に治療を始めましょう。
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