コラム

高齢者用RSウイルスワクチンとは?副作用や費用についても解説!

小児が罹患しても感冒症状のみで自然治癒することが多いRSウイルス感染症は、基礎疾患のある高齢者がかかると、重症化しやすく、死に至る場合があります。ここでは、RSウイルス感染症がどのような疾患なのか、高齢者用RSウイルスワクチンの効果や副作用はどのようなものなのかについて、解説します。

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症とは、RSウイルス(respiratory syncytial virus )による呼吸器感染症です。生後2歳までにほぼ100%の子どもが1度は感染するといわれていますが、基礎疾患のある高齢者が罹患すると重症化しやすく、その場合の死亡率はインフルエンザに匹敵すると言われています。

RSウイルス感染症の症状

RSウイルス感染症に罹患した場合の高齢者の症状についてはいまだに不明な点が多く、臨床症状で他の呼吸器疾患と鑑別するのはほぼ不可能と言われています。入院した症例では以下のようなようなものが多く報告されています。

  • 発熱
  • 咳や痰
  • 喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難

小児では、2~8日の潜伏期間後、発熱、鼻汁などの風邪症状が数日間続きます。ほとんどの場合は軽く、自然治癒しますが、その後、呼吸器症状が悪化し、細気管支炎や肺炎へ進む場合もあります。高齢者の発生動向についての情報は不足していますが、小児の流行期に追従して流行することが知られており、予防が大切です。

RSウイルス感染症の予防方法

通常の感染症対策のほかに、ワクチン接種が有効です。

RSウイルス感染症の診断方法

RSウイルス感染症の診断には、鼻の穴に綿棒を入れて、鼻粘膜をぬぐい、分泌物を調べる 「迅速検査キット」があります。これを使うと15分程度で結果が出ます。

高齢者ではウイルス排出量が小児に比べ少ないので、あまり行われません。ただ重症例や免疫不全患者では、ウイルス排泄量が多く陽性になることはあります。陽性であれば問題ありませんが、陰性時には注意が必要です。費用も高齢者の場合は保険適用外です。

高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)とは?

高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)は60歳以上の成人用のワクチンで、2023年9月に厚生労働省より、日本で初めて製造販売承認を取得しました。ここでは高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)について、解説します。

高齢者用RSウイルスワクチンの効果

高齢者用RSウイルスワクチンを60歳以上の成人に使った、国際共同第Ⅲ相試験(臨床試験)では、82.58%に有効だったと報告されています(ワクチン接種後6.7か月の追跡期間)。日本人集団での発症はありませんでした。また慢性閉塞性肺疾患や喘息、慢性呼吸器もしくは肺疾患、慢性心不全、悪化した肝疾患や腎疾患、糖尿病のうち、1つ以上の重症化リスクを持つ集団での有効率は94.61%とも報告されています。

高齢者用RSウイルスワクチンの副作用

接種部位の腫れや痛みなど、ワクチン接種の一般的な副作用のほかは、上記の臨床試験では報告されていません。

高齢者用RSウイルスワクチンがおすすめな人

高齢者用RSウイルスワクチンは、重症化リスクの高い、以下のような人におすすめです。

  • 慢性の呼吸器疾患のある人
  • 糖尿病や心不全などの基礎疾患のある人
  • がん治療中などで免疫力が低下している人
  • 施設へ入居している人

接種すると、罹患しても重くならずに済む可能性があります。

高齢者用RSウイルスワクチンの費用(自費)

保険適用外の接種で、当院では26,400円(税込)です。

高齢者用RSウイルスワクチンの接種は2024年1月から

高齢者用RSウイルスワクチンは2024年1月から販売、接種が始まっています。

高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)とアブリスボの違いとは?

60歳以上が接種できる、RSウイルスワクチンには2つの種類があります。どちらもRSウイルス感染症を予防しますが、違いもあります。下記に両者を比較した表を掲げました。

高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)とアブリスボの比較

高齢者用RSウイルスワクチン(アレックスビー)RSウイルスワクチン(アブリスボ)
ワクチンの種類一価ワクチン二価ワクチン
接種対象60歳以上妊婦、新生児や乳児、60歳以上
接種回数・接種量・接種方法1回・0.5ml・筋肉注射1回・0.5ml・筋肉注射
持続性データなしデータなし
費用保険外診療(自費)保険外診療(自費)

両者の違いは、接種対象とワクチンの種類です。高齢者用RSウイルスワクチンに含まれる抗原は1つのタイプだけですが、アブリスには2つ含まれ、2価ワクチンになっています。

妊婦への接種推奨期間は「妊娠28~36週」の間とされています。母体でRSVに対する中和抗体価を高めると胎盤を通して胎児へ移行するので、新生児の下気道疾患を予防できます。

RSウイルス感染症の症状は感冒症状のみで自然軽快することが多い疾患です。ただ生後6か月未満の場合には重症化しやすいのでワクチン接種で予防した方がいいでしょう。

基礎疾患のある方は高齢者用RSウイルスワクチンを接種しよう!

この記事では、RSウイルス感染症について、高齢者用RSウイルスワクチンの効果や副作用などについて、解説してきました。

小児が罹患しても感冒症状のみで自然治癒することの多いRSウイルス感染症は、基礎疾患のある高齢者がかかると、重症化しやすく、死に至る場合があります。高齢者はワクチン接種も診断検査も保険適用外ですが、基礎疾患がある人は積極的に予防しましょう。

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