気管支喘息とは、気管支が炎症することで発作性の息苦しさが生じる病気です。気管支喘息には「アレルギーによる喘息」「特定の薬が原因の喘息」などいくつかの種類があり、それぞれ原因に沿った治療が必要です。本記事では、気管支喘息の概要や症状、種類とその原因、検査方法、治療方法を解説します。
気管支喘息とは
気管支喘息とは、継続的な気管の炎症により、気管が狭くなり息苦しさが生じる病気です。喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという音がする呼吸)をともなう発作性の息苦しさが出現するのが特徴です。
「息苦しさがはっきりしない」「咳がばかりが目立つ」などが理由で、多くの患者さんが治療を受けていない現状があります。適切な治療をしなければ炎症が長引いてしまい、発作の頻度が増加したり症状の回復が遅くなったりする可能性があるため、早期に治療を進めることが大切です。
気管支喘息の症状
気管支喘息の具体的な症状は発作性の喘鳴や咳、息苦しさです。症状は深夜から早朝にかけて悪化して、昼間はおさまることが多いです。
他にも季節の変わり目や気温の変化などによっても発症することがあります。風邪を引いたあとに1ヵ月ほど咳のみが続く場合は、咳喘息(せきぜんそく)の可能性があります。
咳喘息は早期に治療をしなければ、約1/3が気管支喘息に移行する可能性があるため注意が必要です。
気管支喘息の種類と原因
気管支喘息には下記のような種類があり、それぞれに原因が異なります。
種類 | 詳細 | 原因 |
---|---|---|
アトピー型喘息 | アレルギーが関連する喘息 | ハウスダスト、ダニ、カビ、犬、猫、うさぎなどのアレルギー物質により発症する |
非アトピー型喘息 | アレルギーが関連しない喘息 | 原因不明 |
アスピリン喘息 | 薬の服用によって起こる喘息 | アスピリンやロキソプロフェンなど特定の解熱鎮痛剤により発症する |
運動性誘発喘息 | 運動がきっかけで発作が起こる喘息 | 冷たく乾燥した空気が気管を刺激して発症する |
咳喘息 | 痰のからまない咳だけが長期間続く喘息 | 風邪による気管支の炎症やアレルギーなどにより発症する |
気管支喘息の検査方法
気管支喘息は、症状の確認や下記のような検査を実施して診断します。
検査名 | 詳細 |
---|---|
肺機能検査 | 口から出入りする空気の量を測定して肺活量を調べる |
気道可逆性試験(きどうかぎゃくせいしけん) | 治療の経過をみる検査。治療薬である気管支拡張剤の吸入する前と後に肺機能検査を実施する |
ピークフロー | 吐き出した息の速さを測定する検査。気管支の状態の指標となる |
血液検査 | アレルギーに関連する検査値が増加していないかを確認する |
喀痰検査 | 痰の中に細菌やアレルギー物質が含まれていないかを確認する |
気管支喘息の治療方法
気管支喘息は主に下記の薬によって治療を進めます。気管支喘息は、症状が改善傾向であっても、2〜3ヵ月は薬の投与を継続する必要があります。自己判断による薬の中断は控えましょう。
薬の種類 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|
気管支拡張剤 | 気管支を広げて空気の通りをよくする薬 | むかつき、手のふるえ、動悸(どうき:胸がドキドキする症状)など |
ステロイドホルモン剤 | 気管支の炎症を和らげる薬 | 感染症、血糖値の上昇、胃潰瘍(いかいよう)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など |
抗アレルギー剤 | アレルギー反応を和らげる薬 | 発疹、下痢、腹痛、のどの違和感、肝臓の障害など |
他にも注射による抗lgE抗体療法という治療方法もあります。lgE抗体というアレルギー反応に関連する物質の働きを抑制することで、喘息症状を改善します。
気管支喘息の予防方法
気管支喘息の発作を予防するためには、日頃から注意すべきことがあります。共通する発作の予防方法は下記の通りです。
共通の予防方法 | 詳細 |
---|---|
感染症に注意する | 風邪やインフルエンザなどの感染症は喘息を大きく悪化させる恐れがある。手洗いやうがいの徹底、マスクの着用などを心がける。 |
肥満を改善する | 肥満は喘息を悪化させる。適度な運動や食事制限によりBMI25未満(肥満指数のこと)を目指す。 |
共通してやってはいけないことは喫煙や飲酒です。たばこは喘息を悪化させるだけでなく、吸入ステロイド薬の効き目を悪くします。アルコールには、気管支をむくませる作用があるため喘息が悪化します。
上記以外にも、ダニやカビを発生させないために「こまめに掃除や換気をする」「布団にも掃除機をかけてこまめに干す」などの原因に沿った予防が必要です。
気管支喘息の原因に合わせた発作予防をしましょう
気管支喘息は発作性の喘鳴や息苦しさが生じる病気です。適切な治療を進めなければ、症状が発生する頻度が増加して、病気が長期化する恐れもあります。
禁煙や禁酒、肥満改善など共通した発作の予防方法だけでなく、それぞれの原因に沿った対策を実施する必要があります。
気管支喘息の種類と原因を把握するためにも、まずは医療機関を受診して肺機能検査や採血など適切な検査を受けることが大切です。
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