コラム

喘息と花粉症の関係性とは?正しい治療や対策により発作を予防しよう

花粉症と喘息は密接な関係があり、合併している場合は適切な治療を受けることが重要です。花粉症の症状が影響して、喘息が悪化する恐れがあるためです。本記事では、花粉症によって喘息が悪化する理由や、喘息が悪化していないかを判断するポイント、喘息悪化を予防する対策などを解説します。

花粉症によって喘息が悪化する理由とは?

花粉症を合併している喘息患者さんは、花粉の飛散時期に喘息の症状が悪化する傾向があります。そもそも、花粉症は喉や鼻、喘息は気管支(喉から肺に空気を送る管)それぞれに炎症が起きる病気です。

かつては、花粉は気管支にまで影響を与えないと考えられていました。しかし、近年では、花粉症は鼻や喉だけでなく気管支にも影響を与え、喘息を悪化させることが解明されています。

成人の喘息患者さんの花粉症を含むアレルギー性鼻炎の合併率は、約77%という報告があります。喘息患者さんで、花粉症の時期に咳症状などが悪化するという方は注意してください。

花粉症によって喘息が悪化していないかを判断するポイント

花粉症によって喘息が悪化していないかを判断するポイントは、喘息の症状よりも先行して花粉症の症状が現れていないかどうかです。

つまり、以下のような流れで症状が現れた際は、花粉症によって喘息が悪化している可能性があります。

  1. 鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの鼻症状が現れる
  2. 鼻症状が現れた数日後に喘息症状が現れる

わずかでも喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸)の症状が現れた場合は、喘息の悪化を疑ってよいでしょう。

花粉症と喘息が合併している場合の治療方法

花粉症と喘息を合併している方は、花粉症の治療を適切に実施することで、喘息の悪化を予防できます。花粉症の一般的な治療方法は、内服薬や点鼻薬、点眼薬などを用いた対症療法(症状を抑える治療)です。

特に内服薬の抗ロイコトリエン薬は、花粉症による鼻症状だけでなく、喘息にも一定の効果が期待できます。対症療法を始めるタイミングは症状を少しでも感じたときです。加えて、根本的な治療につながるアレルゲン免疫療法も検討しましょう。

近年ではオマリズマブという薬が、花粉症と合併した重症の喘息患者さんに対して効果が高いと評価されています。オマリズマブは、一般的な花粉症の治療で改善できなかった12歳以上の重症スギ花粉症患者さんに適応される薬です。

花粉症による喘息悪化を予防する2つの対策

花粉症による喘息悪化を予防する2つの対策は以下の通りです。

  1. 前提として治療を継続する
  2. 花粉症を悪化させる要因を除去する

それぞれの詳細を解説します。

1.前提として治療を継続する

花粉症による喘息悪化を予防するには、症状がおさまっていても治療を継続することが大切です。特にアレルゲン免疫療法は、長期的な寛解(かんかい:症状がおさまっている状態)をめざせる治療方法であるため推奨します。

アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となっている成分が含まれている薬を少しずつ長期間投与することで、アレルゲン(アレルギーの原因)に対する免疫を高めることが可能です。

免疫が高まれば、花粉症の症状の改善につながります。投与方法には、皮下注射と舌下薬(舌の下に薬を置いてゆっくり溶かす内服方法)がありますが、現在は手軽にできる舌下薬が普及しています。

注意点として、喘息の症状をコントロールしていることが前提です。また、2〜5年は内服を続ける必要があります。アレルゲン免疫療法は長期的な内服に加えて、患者さん自身も治療に対する理解が必要であるため医師と相談しながら進めましょう。

2.花粉症を悪化させる要因を除去する

普段から花粉症を悪化させる要因を除去することは大切です。以下のような基本的な対策を実施しましょう。

  • まずは自分のアレルゲンを特定する
  • 原因となる花粉の飛散時期を把握する
  • 外出時はマスクやメガネなどを着用する
  • 花粉が付着しにくい化学繊維の服を着用する
  • 帰宅後は髪や服をはたいて花粉を落とす
  • 帰宅後は洗顔やうがいをして花粉を除去する
  • 花粉の飛散時期は洗濯物を部屋干しする
  • 換気は花粉の飛散が少ない午前10時ごろにする
  • こまめに掃除をして部屋の花粉を除去する
  • 粘膜を傷つけるためタバコは控える

特にアレルゲンを特定することは大切です。特定が済んでいない方はアレルギー検査ができる医療機関を受診しましょう。

花粉症と喘息の継続治療を行い、症状を落ち着かせよう

かつては、花粉は喘息に影響しないと考えられていました。しかし、近年の研究では、この考えは覆されています。花粉症により喘息を悪化させないためには、花粉症と喘息どちらも適切に治療をする必要があります。

たとえ、症状がおさまっていたとしても、治療をやめるのではなく長期的な寛解をめざす治療を継続することを推奨します。花粉症と喘息が合併しているか不明で、花粉症が流行る時期に喘鳴などの症状が現れる方は、まずは医療機関で受診しましょう。

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