花粉症の薬には、効果や副作用の強さ、眠気の有無などさまざまなタイプがあります。本記事では、花粉症薬5種の特徴と副作用、薬の強さと使い方、眠くなる薬・ならない薬の一覧を紹介。さらに、症状が出る前に始める薬物療法の重要性についても解説します。
花粉症の薬5種の効果と副作用
花粉症の薬は、広く使われているもので5種類存在し、それぞれ効果が現れる仕組みと注意点が異なります。花粉症の薬でよくみられる副作用として眠気や口の渇きなどがみられますが、眠気は車の運転や仕事、勉強などにも影響するため注意が必要です。一つの薬で効果が薄かったり、重症であったりする場合は複数の薬を併用することもあります。
ライフスタイルや職業などによっては、眠気の少ない薬が必要となります。こちらでは、花粉症の薬を種類ごとに特徴と副作用について紹介します。
第1世代抗ヒスタミン薬
第1世代抗ヒスタミン薬は古くから使われている薬であり、ヒスタミンH1受容体をブロックし、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を素早く抑える即効性が特徴です。
商品名 | ポララミン、レスタミンコーワなど |
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投与方法 | 内服、点鼻 |
効果 | くしゃみ、鼻水、目のかゆみの緩和 |
主な副作用 | 強い眠気、口の渇き、倦怠感 |
ただし、中枢神経に作用しやすいため、強い眠気や集中力の低下といった副作用が出やすくなっています。また、口の渇きや便秘、めまいなどの副作用(抗コリン作用)もみられるので日常生活にも大きく影響する可能性があります。「緑内障」や「前立腺肥大」の患者さんには、第1世代抗ヒスタミン薬が使えない可能性もあり、注意が必要です。
現在では、眠気がより少ない第2世代抗ヒスタミン薬が開発され、第1世代抗ヒスタミン薬が使われることが少なくなっています。
第2世代抗ヒスタミン薬
第2世代抗ヒスタミン薬は、第1世代の副作用を軽減するよう開発された薬で、眠気などの中枢神経への影響が少ないのが特徴です。
商品名 | アレグラ、クラリチン、アレジオン、ビラノア、デザレックス、ザイザルなど |
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投与方法 | 内服 |
効果 | くしゃみ、鼻水、目のかゆみの緩和 |
主な副作用 | 軽度の眠気、頭痛、口渇(製剤により差あり) |
非鎮静性や軽度鎮静性といった分類があり、特に非鎮静性のものを選ぶことで日中の生活や仕事に支障が出にくいため、多くの患者にとって第一選択となる薬です。副作用は軽度の眠気や頭痛、口の渇きなどがあり、個人差があります。第2世代抗ヒスタミン薬の中には、市販薬としても販売されているものもあります。
抗ロイコトリエン薬
抗ロイコトリエン薬は、アレルギー反応の一因であるロイコトリエンの作用をブロックし、鼻づまりや炎症を抑える薬です。
商品名 | キプレス、オノンなど |
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投与方法 | 内服 |
効果 | 鼻づまり、くしゃみの改善 |
主な副作用 | 頭痛、腹痛、眠気(まれ) |
特に鼻閉が強い人や、気管支喘息を併発している人に有効です。抗ヒスタミン薬だけでは不十分な場合に併用されることも多く、治療の幅を広げる役割を持ちます。副作用としては頭痛、腹痛、倦怠感などがみられますが、比較的軽度です。
ステロイド薬
ステロイド薬は、炎症を強力に抑える作用を持ち、花粉症の症状全般に高い効果を示します。
商品名 | フルナーゼ、ナゾネックスなど |
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投与方法 | 点鼻、点眼 |
効果 | 鼻づまり、鼻水、目のかゆみの改善 |
主な副作用 | 鼻出血、刺激感(長期使用でまれに全身性副作用) |
特に鼻づまりや強い症状に対しては、点鼻や点眼での局所投与が有効です。副作用としては、長期使用で鼻粘膜の乾燥や出血が起こることがありますが、局所使用であれば全身的な副作用は少ないです。
生物学的製剤
生物学的製剤は、アレルギー反応の根源である免疫物質をピンポイントに抑える高精度の注射薬です。
商品名 | ゾレアなど |
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投与方法 | 皮下注射 |
効果 | 重症アレルギー症状の抑制 |
主な副作用 | 注射部位の腫れ、アナフィラキシー(まれ) |
特に、重症で従来の治療では効果が得られない患者さんに対して使用されます。アレルギーに関連する物質にのみ作用するため効果が高く、薬の投与頻度が少ないことが生物学的製剤のメリットですが、値段が高く、投与方法が注射のみとなっているため注意が必要です。
投与は数週間に一度の皮下注射で行います。通院の必要がありますが、薬の飲み忘れなどを心配しなくてもよいのはメリットです。副作用として、注射部位の腫れ、倦怠感、まれにアナフィラキシーが報告されています。高価であるため、専門医の判断のもと適応が検討されます。
花粉症の薬の強さと適切な服用方法について
花粉症の薬は数多く存在しますが、効果の強さや作用の持続時間、副作用の出やすさなどの違いがあります。それぞれの薬の特徴を理解して、自分の症状やライフスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
「眠くなる薬のほうがよく効く」と思われがちですが、実際には非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬でも、十分な効果を得られるケースは多くあります。そのため、花粉症の治療では症状の重さやタイプに応じて薬が使い分けられます。
ここでは、第2世代抗ヒスタミン薬について、服用回数や服用のタイミング、どの様な生活スタイルの人に適しているかを表にまとめました。薬を上手に使うことで、つらい花粉症の症状をより効果的にコントロールしましょう。
商品名 | 服用回数 | 眠気 | お薬の特徴・注意点 | おすすめの服用のタイミング | おすすめの人 |
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アレグラ | 1日2回 | ほぼなし | 食後の服用で効果が減少する可能性あり | 朝夕2回(服用間隔は6時間以上あける) | 仕事で運転する人 |
クラリチン | 1日1回 | ほぼなし | 空腹時服用で効果が半減 | 夕食後 | 毎日同じ時間に服用できる人で、仕事で運転する人 |
アレジオン | 1日1回 | 眠気あり(軽度) | 空腹時服用の方が血中濃度が高くなりやすく、効果が高いです | 就寝前 | 毎日同じ生活リズムの人で、就寝前に薬を服用できる人 |
ビラノア | 1日1回 | ほぼなし | 胃のなかに食べ物があると効果が半減 | 就寝前で空腹時(食後2時間以上) | 毎日同じ時間に服用できる人 |
デザレックス | 1日1回 | ほぼなし | 食事の影響が少ない | 毎日同じ時間 | 毎日同じ時間に服用できる人で、仕事で運転する人 |
ザイザル | 1日1回 | 眠気あり(軽度) | 食後に服用で効果が現れるまでに時間がかかることもあり | 就寝前 | 毎日同じ生活リズムの人で、就寝前に薬を服用できる人 |
また、症状が出てから使うよりも、花粉の飛散前から服薬を始める「初期療法」によって、症状を軽く抑えることができます。症状が治まったとしても花粉の飛散がなくなるまでは継続して薬を服用することも大切です。
花粉症では、薬を使っても症状が改善しないからと自己判断で薬を変えたり、薬の服用を中断したりすることで、症状が悪化することがあります。思わぬ副作用などのリスクを避けるためにも、医師の指示に従って内服しましょう。
花粉症の眠くなる薬と眠くならない薬の一覧
抗ヒスタミン薬は種類によって眠気のあらわれ方が異なります。眠気の程度に応じて以下のように分類されます。
強い(運転注意) | レスタミンコーワ、ポララミン、アタラックス |
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軽度 | アレジオン、ザジテン、ゼスラン |
ほとんどなし | アレグラ、クラリチン、デザレックス、ビラノア |
第1世代抗ヒスタミン薬や一部の第2世代抗ヒスタミン薬は、眠気が副作用として報告されているため車の運転や機械の操作を避けることが推奨されています。それに対してフェキソフェナジンなどの一部の第2世代抗ヒスタミン薬は、眠気の副作用がほとんどみられないため日常生活への影響が少ないとされています。
しかし、眠気が少ないとされる薬だとしても、人によっては軽い眠気を感じることがあるため、服用初日はいつもより注意して運転などの作業をした方がよいでしょう。眠気の少ない花粉症の薬を希望する場合は、医師に相談しましょう。
花粉症の薬物療法は症状が起きる前に始めよう
花粉症の薬物療法は、症状が出てから始めるのではなく、花粉が飛び始める前の「初期療法」が重要です。早めの服薬によって、アレルギー反応を事前に抑え、シーズン中の症状を軽減できます。
薬にはさまざまな種類があり、効果の強さや副作用、眠気の有無など、生活への影響も異なります。そのため、症状の程度や体質、ライフスタイルに合わせて、適切な薬を選ぶことが大切です。ただし、自己判断での薬の選択にはリスクも伴います。重症化を防ぎ、より効果的な治療を行うためにも、医師と相談しながら治療を進めましょう。
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