コラム

高尿酸血症とは?原因や合併症、治療方法についてもあわせて解説!

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高い状態のことです。放置すると、痛風発作で激痛が起きたり、慢性腎臓病やメタボリックシンドロームなどを起こしたりする可能性があります。ここでは、高尿酸血症になりやすい人や原因、合併症、治療方法などについて解説します。

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液の尿酸の濃度(尿酸値)が7.0mg/dLを超えた状態のことです。ここでは、なりやすい人と原因について説明します。

なりやすい人

高尿酸血症になりやすいのは男性で、加齢で増加します。女性に少ないのは、女性ホルモンに尿酸排泄作用があるからです。そのため、女性でも閉経すると高くなりやすいので、注意する必要があります。

原因

尿酸値は、尿酸を生成する量と排出する量のバランスで保たれています。生成する量が増えたり、排出する量が減ったりすると、バランスが崩れるので、尿酸値が7.0mg/dLを超えてしまいます。この状態を高尿酸血症と呼んでいます。

健康な成人の体内で生成される尿酸の量は、1日に約700mgです。同じ量の尿酸が尿や便と一緒に排泄されていて、1,200mgが常時、体内に蓄積されています。

尿酸の生成量と排出量のバランスは、以下のようなことがあると、くずれる可能性があります。

  • 食べ過ぎ
  • 飲み過ぎ
  • 激しい運動
  • 強いストレス
  • 腎機能の低下
  • 遺伝的要因

高尿酸血症は、遺伝的要因とその他の要因が関係しあって発症するといわれています。

高尿酸血症は放置すると合併症を招く

高尿酸血症は、放置するとさまざまな病気を引き起こす可能性があります。ここでは、高尿酸血症を放置した場合に起こる可能性のある合併症について説明します。

痛風

尿酸は結晶になると関節や足先、耳たぶなどにたまります。この部分が炎症を起こし、痛むようになったものが痛風です。「風があたるだけでも痛い」と表現され、痛風発作は数日間続きます。痛風発作は夜中から明け方にかけて、また夏季に起こりやすいといわれています。

尿路結石

尿の通る経路、腎臓や尿管、膀胱、尿道を尿路といい、ここで尿酸が結晶化して結石ができることを尿路結石と呼んでいます。結石が尿管や膀胱に移動するとその部分で炎症を起こし、背中から腰にかけて激痛が走ったり、血尿が出たりします。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は少しずつ腎機能が弱くなっていく病気です。初めのうちは自覚症状がありませんが、尿酸が直接、腎臓に良くない影響を与えていると考えられています。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧や高血糖、脂質代謝異常が併存して動脈硬化疾患である心臓病や脳卒中などになりやすい状態のことです。特に内臓肥満の人で尿酸値が高い場合には、高尿酸血症を治療すべきといわれています。

狭心症や心筋梗塞

高尿酸血症は狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳梗塞(のうこうそく)などのリスク因子としても知られています。高尿酸血症だと、肥満や高血圧、高血糖、脂質代謝異常症を合併していることが多く、動脈硬化を招くためです。

高尿酸血症は治るのか?治療方法について

治療は主に生活習慣改善指導と薬物療法です。ここでは、高尿酸血症の治療方法について、説明します。

食事療法と運動療法

食事では、肉や魚介類を摂取しすぎず、プリン体はアルコール合わせて400mg以下に留めましょう。また、水やお茶などの水分も意識的に摂取するようにします。

過度な低糖質ダイエットは避け、栄養バランスの良い食事をすることを心掛けましょう。激しい運動は尿酸値を上昇させる可能性があります。人と会話できるくらいの強度のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が良いでしょう。

薬物療法

通常、薬物療法は、食事療法と運動療法で尿酸値が下がらなかった場合に行いますが、以下のような場合は、生活改善と同時に薬物療法を行います。

  • 痛風発作の既往歴がある
  • 尿酸値が9mg/dl超である

尿酸値が8mg/dl前後でも、高血圧や腎障害、糖尿病などの合併症がある場合には薬物療法を検討します。

痛風発作経験のある場合は、6mg/dl以下を目標にします。高尿酸血症は非常に治りにくい疾患です。薬の服用中止2週間程度で尿酸値は元に戻り、長期間放置すれば合併症が起こる可能性があります。辛抱強く服用することが必要で大切です。

高尿酸血症の受診の目安と診療科は?

自覚症状がなく健康診断で「高尿酸血症」を指摘された場合には、一般内科を受診しましょう。できるだけ、早めに受診することをおすすめします。突然、関節が痛んで「痛風発作」が疑われる場合には、整形外科や膠原病、リウマチ科で受診しましょう。

高尿酸血症を指摘されたら早めに病院へ行こう!

高尿酸血症は放置すると、痛風や尿路結石の発作ばかりでなく、慢性腎臓病や動脈硬化性疾患も招いてしまう可能性があります。健康診断などで指摘されたら、早めに病院へ行きましょう。また、遺伝的な要因のある人は生活習慣を整えて、尿酸値が高くならないように注意しましょう。