コラム

肺炎とは|初期症状や治療法、おとなと子どもの違いまで解説

肺炎は、細菌やウイルスが肺に感染して炎症を起こす疾患です。初期症状は風邪と似ており、正しい知識がないと気づかないうちに重症化する場合もあります。症状や治療の流れを理解し、早期対応につなげることが大切です。

本記事では、肺炎の初期症状や治療法に加え、おとなと子どもの違いについてもわかりやすく解説します。

肺炎とは肺に炎症が起こる疾患

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に感染し、急性の炎症を起こす病気です。
2024年の厚生労働省の調査では、肺炎は死因の第5位、誤嚥性肺炎は第6位に位置しています。

特に高齢者では罹患率・死亡率ともに高く、注意が必要な疾患です。

肺炎の主な症状|風邪との違いや見分け方を解説

肺炎の初期症状は発熱や咳、痰、倦怠感などが中心です。初期の段階では、風邪と症状がよく似ているため、見分けがつきにくいケースもあります。肺炎が進行すると、息切れなど呼吸に関わる症状が目立つようになることもあります。

肺炎と風邪の見分け方の目安は、以下の通りです。

発熱

  • 肺炎:38℃以上の高熱が出ることが多い
  • 風邪:微熱〜37℃台で経過することが多い

  • 肺炎:長く続くことが多い
  • 風邪:短期間で軽くなることが多い

  • 肺炎:黄色・緑色・鉄さび色など色のついた痰が出ることがある
  • 風邪:痰が少ない、または透明なことが多い

息苦しさ

  • 肺炎:息切れや息苦しさを感じることがある
  • 風邪:通常は強い息苦しさは見られない

胸の痛み

  • 肺炎:息を吸ったときに痛むことがある
  • 風邪:あまり見られない

全身の症状

  • 肺炎:悪寒やふるえ、強い倦怠感を伴うことがある
  • 風邪:軽い倦怠感で済むことが多い

ただし、肺炎だからといって、必ずしも発熱が見られるわけではありません。

特に高齢者では、咳や熱が出るといった典型的な肺炎の症状が目立たず、食欲の低下やお腹の痛み、尿を漏らしてしまうなど、呼吸器以外の症状が見られる場合もあります。そのため、家族が日頃から体調や様子の変化に注意することが大切です。

このように、症状の出方は個人差があり、一部の症状だけで肺炎かどうかを判断することは難しいといえます。症状に気になる変化があれば、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。

なお、インターネット上で見かける「息を止めるセルフチェック」などで肺炎を判別する方法には、医学的な根拠はありません。

肺炎の原因は感染や誤嚥

肺炎の原因はいくつかありますが、特に多いのが感染や誤嚥によるものです。代表的な原因は以下の通りです。

肺炎の種類原因
細菌性肺炎肺炎球菌などによる感染。
ウイルス性肺炎インフルエンザウイルス、RSウイルス、新型コロナウイルスなどによる感染。
非定型肺炎マイコプラズマやクラミジアなど、細菌ともウイルスとも異なる病原体による感染。
誤嚥性肺炎食べ物や唾液が誤って気管に入ることで起こる。

なお、誤嚥性肺炎は、高齢者に多く見られる疾患です。

肺炎はこのほかに、アレルギーなどが原因で起こることもあります。

肺炎の検査と診断について

肺炎は、診察やレントゲン・血液検査の結果を総合的に考慮した上で診断します。必要に応じて、胸部CT検査を実施することもあります。

肺炎と診断された場合は、鼻やのどの奥の粘膜や痰などを検査して原因を調べます。そして、原因や重症度に応じて治療方針を決定します。

肺炎の治療方法と家庭での過ごし方

肺炎は、適切な治療と家庭での過ごし方が回復に大きく影響します。ここでは、肺炎の治療方法と家庭での注意点について解説します。

肺炎の治療方法

肺炎の治療は、原因となる病原体や重症度に応じて行います。細菌性肺炎では抗菌薬治療が基本で、軽症例は外来で内服、重症例では入院して点滴治療を行います。

一方、ウイルス性肺炎では原因ウイルスに応じた抗ウイルス薬や対症療法が中心となります。

診断初期に原因が特定できない場合は、推定される菌に有効な薬を用いて治療を行い、症状に応じて解熱剤や咳止め薬を併用します。

肺炎になった際の家庭での過ごし方

肺炎と診断され自宅で療養する場合は、十分な安静と休養が重要です。無理をせず、できるだけ横になって過ごしましょう。

発熱や咳で水分が失われやすいため、こまめな水分補給と栄養バランスのよい食事を心がけます。

処方された薬は自己判断で中止せず、必ず医師の指示通りに服用してください。

肺炎のおとなと子どもの違い

子どもはのどや気道の抵抗力が弱く、免疫機能も発達途中であるため、おとなよりも肺炎を起こしやすいとされています。特にマイコプラズマ肺炎は子どもに多く、患者の約80%が14歳以下との報告もあります。

マイコプラズマ肺炎に子どもがかかった場合は、発熱や咳といった症状はあるものの、比較的元気に見えることも。一方で、おとなは咳が長引いたり、全身倦怠感や頭痛が強く出たりする傾向があります。

このように年齢によって症状の現れ方が異なるため、それぞれの特徴に注意して早めに受診することが大切です。

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高齢者が肺炎で入院した際に起こりやすい健康リスク

65歳以上の方が肺炎で入院すると、その後の健康状態にも影響することがあります。特に、以下のようなリスクが報告されています。

  • 足腰の筋力の低下
  • 認知症の発症リスク増加
  • 心筋梗塞や脳卒中の発症リスク増加

高齢者では、肺炎にかかっても典型的な症状が目立たず、気づかないうちに重症化することがあります。そのため、体調の変化が見られる場合は早めの受診が必要です。

肺炎を予防するワクチンと生活習慣

肺炎予防には、ワクチン接種と日常生活での感染対策が重要です。

65歳以上の場合は、成人用肺炎球菌ワクチンの接種が肺炎予防に有効とされています。また、インフルエンザや新型コロナウイルス、RSウイルスの予防接種も、肺炎予防につながります。

日常生活では、手洗い・うがい・マスク着用に加え、歯磨きなどで口腔内を清潔に保ち、誤嚥性肺炎を防ぐことが大切です。さらに、十分な睡眠と栄養を取り、肺の負担を減らすためにも禁煙を心がけましょう。

【FAQ】肺炎に関するよくある質問

ここでは、肺炎に関するよくある質問を紹介します。

  • Q.肺炎のときにしてはいけないことは?
  • Q.肺炎は放置しても治る?
  • Q.肺炎はどのくらいで治る?
  • Q.肺炎は人にうつる?

代表的な質問について解説します。

肺炎のときにしてはいけないことは?

肺炎のときにしてはいけないことは、自己判断による治療の中断です。
症状がよくなっても、処方された薬は医師の指示どおり最後まで服用してください。途中で中断すると、治りきらずに再発したり、薬が効きにくい耐性菌が生じたりするおそれがあります。

肺炎は放置しても治る?

肺炎は放置すると重症化するおそれがあり、自然に治る病気ではありません。
特に細菌性肺炎は、治療が遅れると呼吸不全や合併症を起こすことがあります。肺炎が疑われる場合は症状が軽くても自己判断せず、早めに医療機関を受診することが重要です。

肺炎はどのくらいで治る?

日本呼吸器学会のガイドラインによると、肺炎の回復までの期間は重症度によって異なります。

・軽症〜中等症の場合:細菌が血液に入っていないケースでは、一般的に5〜7日間程度の抗菌薬治療で改善します。外来治療が可能なことが多いです。
・重症の場合:細菌が血液中に入り全身へ影響しているケースでは、10〜14日間程度の治療が目安となります。高齢者や免疫機能が低下している方では、さらに治療期間が延びることもあります。入院治療が必要です。

出典:日本呼吸器学会|成人肺炎診療ガイドライン2024

肺炎は人にうつる?

肺炎の原因によって「うつるもの」と「うつらないもの」があります。

・うつる可能性がある肺炎:マイコプラズマ肺炎やウイルス性肺炎などの場合、咳やくしゃみで感染を広げるリスクがあります。
・うつる心配がない肺炎:誤嚥や、口の中に元々いる細菌が原因の場合は、感染を広げる心配はありません。

原因がわからない場合もあるため、念のため手洗いやマスクなどの感染対策を行うと安心です。

気になる変化があれば医療機関を受診しよう

肺炎は、初期段階では風邪と見分けがつきにくいですが、決して軽視できない疾患です。「ただの風邪だからそのうち治るだろう」と自己判断で放置すると、重症化してしまうこともあります。

「熱が続く」「咳が長引く」「息苦しさがある」「食欲がない」のように、いつもと違うサインがあれば、無理せず医療機関を受診して診察を受けましょう。

当院ではLINEによる診療予約を導入しております。
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