2型糖尿病とは、血糖値(血液内の糖の濃度)の調整ができなくなり、血管や神経にさまざまな障害が起きる病気です。2型糖尿病の症状は、初期段階では現れない可能性があるため、定期検診で早期発見・早期治療に努めることが大切です。本記事では、2型糖尿病の概要、原因、症状、検査方法、治療方法を解説します。
2型糖尿病とはどのような病気?
まずは2型糖尿病の概要と1型糖尿病との違いを解説します。
インスリン分泌が低下したり効き目が悪くなったりする病気
2型糖尿病は運動不足や肥満などの生活習慣や遺伝が原因で、血糖値を調整するインスリンが出にくくなったり、効き目が悪くなったりする病気です。
血糖値が高くなることで、血管や神経などにさまざまな障害が起きます。2型糖尿病は生活習慣の変化などにより急増している病気です。
1型糖尿病との違い
1型糖尿病と2型糖尿病の違いは以下の通りです。
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
---|---|---|
発症年齢 | 若年者が中心 | 中高年に多い |
症状 | 急激に症状が現れる | 初期症状はほとんどない。いつの間にか進行している |
体型 | 痩せ型に多い | 肥満に多い |
原因 | 何らかの原因によりインスリンを分泌するβ細胞が壊れる | 生活習慣や遺伝により、インスリンの分泌力と効き目が悪くなる |
治療方法 | インスリン療法が中心 | 食事療法と運動療法。必要であればインスリン療法 |
2型糖尿病の原因と、なりやすい人の特徴
ここからは2型糖尿病の原因となりやすい人の特徴を解説します。
2型糖尿病の原因は遺伝的要因と環境要因
2型糖尿病の原因には、遺伝的要因と環境要因(生活習慣)があります。インスリンが出にくくなるのは遺伝的要因、インスリンが効きにくくなるのは環境要因が関係しています。環境要因の例をあげると以下の通りです。
- 運動不足
- 朝食を食べない
- 間食が多い
- 夕食が遅い
- 早食いである
- 野菜や海藻、きのこ類を食べない
特に糖尿病予備軍(血糖値がやや高いと指摘されたことがある)の方や、メタボリックシンドローム(内臓肥満に加えて高血糖や高血圧などが組み合わさっている状態)である方は注意が必要です。
なりやすい人の特徴
以下の項目に該当する人は、2型糖尿病になりやすい可能性があります。
項目 | 発症リスク上昇率 |
---|---|
中高年の年代である | 1年ごとに男女とも2%上昇 |
肥満である | BMIが1kg/m²増えるごとに男女とも17%上昇 |
家族歴がある | 家族に2型糖尿病の方がいると、男性で2.0倍、女性で2.7倍上昇 |
高血圧である | 男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇 |
喫煙をしている | 1日20本以上吸う方は、男性で1.4倍、女性で3.0倍上昇 |
飲酒をしている | 1日1合以上飲む方は、男性で1.3倍上昇 |
他にもストレスや不規則な生活などは、血糖値を上昇させるホルモンが分泌されるため、2型糖尿病のリスクを高めるとされています。
2型糖尿病の症状と合併症
ここからは2型糖尿病の症状と合併症を解説します。
2型糖尿病は症状が現れないこともある
2型糖尿病の症状は以下の通りです。
- のどが渇きやすくなった
- 排尿の回数が多くなった
- 体重が減った
- 疲れやすくなった
進行すると意識消失などの症状が現れます。以上の症状は、かなり血糖値が高くなってからでないと現れません。
2型糖尿病の合併症
糖尿病には、急激に現れる急性合併症と、ゆるやかに病状が進行して現れる慢性合併症があります。急性合併症は以下の通りです。
急性合併症 | 症状 |
---|---|
糖尿病ケトアシドーシス | インスリン不足により高血糖症状が急激に現れる。2型糖尿病の場合は、ジュースなどをたくさん飲んでしまったときに起きることが多い |
高浸透圧(こうしんとうあつ)高血糖症候群 | 異常な高血糖により極度の脱水や意識の消失が起きる。高齢者の2型糖尿病の患者さんに多い。糖尿病以外の病気をきっかけに起きることがある |
急性合併症は重症になると意識を失い、生命に危険が伴うことがあります。迅速に医療機関へ搬送して適切な治療が必要です。慢性合併症は以下の通りです。
慢性合併症 | 症状 |
---|---|
神経障害 | 血圧などを調整する自律神経や、痛みを感じる感覚神経に問題が起きる |
網膜症 | 目の細い血管がもろくなってしまい、視力低下や失明が起きる |
腎症 | 腎臓の血流が悪くなり、腎臓の血液をきれいにする機能が低下する |
大血管症 | 脳や心臓への血流が滞ってしまい、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる |
糖尿病足病変(そくびょうへん) | 血流が悪くなっており傷の治りが遅いため、足の傷や水虫をきっかけに足が腐ってしまう |
2型糖尿病の検査方法とわかるきっかけ
糖尿病の主な検査方法は血液検査です。血液検査の内容は血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などです。特に重要な検査はHbA1cで、その場だけの血糖値とは違い、1〜2ヵ月の平均血糖値を知ることができます。
そのため、より正確な血糖値を把握できます。2型糖尿病はある程度進行するまで、症状が現れないことがあるため、2型糖尿病に気づけるのは定期検診であることが多いです。病状を進行させないためにも、定期検診を受けて早期発見・早期治療に努めることが大切です。
2型糖尿病ではまず食事療法と運動療法を実施
2型糖尿病は運動不足や肥満、過食などが原因となるため、まず食事療法や運動療法から始めます。必要に応じて血糖値をコントロールする薬物療法も実施します。
食事は、糖やエネルギー、その他の栄養などをバランスよく摂取することが大切です。食事内容は、病状や年齢、性別、体格などにより異なります。医師と相談しながら食事内容を決めましょう。運動はウォーキングやジョキング、水泳、ラジオ体操などの有酸素運動が有効です。
生活習慣を改善して2型糖尿病の発症と、悪化を予防をしましょう
2型糖尿病は生活習慣の変化により増加している病気です。発症してしまうと、完全に治ることはなく、血糖値をコントロールしながら合併症を予防していく必要があります。
なりやすい人に該当する場合は、検診を受けることを推奨します。一度だけでなく、定期検診を受けて、血糖値やHbA1cの経過を見ることが大切です。糖尿病予備軍である人やそうでない人も日頃の生活習慣に注意してください。
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