最終更新日:2024年3月3日
当院では6歳未満のお子様にアレルギー検査は実施しておりません。
大人とちがってお子様の体質・データは年単位で変化し、この検査自体もお子様の負荷になること、検査結果より症状と合わせた臨床判断が大切であることから、精査が必要と判断した場合は専門医がいる総合病院・大学病院をご紹介いたします。
なぜいま増える?”くるみ”アレルギー
“くるみ”でアレルギーを起こす頻度が、卵・牛乳・小麦に続いて4番目に症例数が上がってきています。
どうして、今になって”くるみ”なのでしょうか?
その理由は「食べる量がふえたから」です。
健康志向の普及も相まって、洋菓子などをはじめナッツをふくんだ食べ物が増えてきています。
一昔前と比べて、コンビニやスーパーなどの店頭で見る機会がふえたのではないでしょうか。
大人よりも子供に”くるみ”アレルギーは多くみられます。
お菓子などの加工品を買う時に、包装の裏にアレルギー表示があるのを見たことがある方は多いかと思います。
国によって表示しなければならない食物が決められており、生産者はそれを守って記載することになっています。
アレルギーの原因としてよく知られる卵、牛乳、小麦、エビ・カニ、ピーナッツ(落花生)などは「表示義務」となっています。
一方で、今回話題のくるみをはじめ、アーモンド、カシューナッツ、キウイなどは「表示推奨」となっており、絶対に記載しなければいけない食物ではありません。
「義務」と「推奨」がどのように決められているかというと、アレルギーを起こす症例数が多いか少ないかによります。
“くるみ”の食物アレルギー表示が義務化へ
消費者庁により、はやくて2022年度中に、くるみの食物アレルギー表示を表示推奨から”義務化”に変更される予定です。
一度アレルギーを起こしたことのある方は注意が必要です(今までくるみ、ナッツ類を食べていた方は食べ続けて問題ありません)。
一番大切なのは、「知らずに食べてしまうリスクを下げること」です。
しかし、どんなに気をつけていても知らないうちに食べてしまうことは十分にありえます。
もし知らずに食べてしまい、アレルギー症状がでたらどうしたらよいかを想定しておくことも大切でしょう。
アレルギーの症状はどんなものがある?
アレルギーで特徴的な症状は以下の通りです。
- じんましん(皮膚症状)
- お腹が痛くなる(腹痛・下痢)
- 呼吸が苦しくなる・息がしづらい
- 血圧がさがる(ショック)
下にいくほど重症で早めの処置が必要です。
多くは、じんましんが体にでてかゆい・腫れてしまう程度に止まります。
体にミミズ腫れのような盛り上がって皮疹がでて、顔に出る場合は目やくちびるが腫れて今います。
この場合は早めに抗ヒスタミン薬の投与が必要です。
飲み薬のみで落ち着く場合もありますが、急を要する場合は点滴を行います。
2 〜 4 の症状を伴う場合は、早急な対応を要します。
必ず病院に相談・受診しましょう。
食物アレルギーについて詳しくは以下のページをご覧ください。
迷ったら受診しましょう
病院にいくか迷うくらいの症状であれば軽症の可能性が高いと思いますが、
適切な治療、食事指導が必要な場合もありますので、アレルギー症状が心配な場合は病院を受診しましょう。
当院は飲み薬の処方や点滴治療のほか、アレルギー検査も実施していますのでお気軽にご相談ください(6歳未満のお子様のアレルギー検査は実施しておりません)。
また食物負荷試験など設備・専門性の高い判断が必要と判断した場合は、適切な総合病院・大学病院をご紹介いたします。
気を付けるポイント
- くるみ、アーモンド、ココナッツなどは洋菓子などでパウダーとして使用されることも多いです。
そのため、外見だけではわかりにくいため、必ず原材料の確認を行いましょう。 - くるみとカシューナッツは、アレルギー表示の推奨品目です(くるみは今後義務化予定)が、他のナッツ類は「推奨」ですらないため記載がない場合があります。
- 包装された加工食品には記載がされますが、いまのところ外食・テイクアウトについては表示がありません。
この点は今後見直されていくと思われますが、気を付ける必要があります。
食品の特徴と除去の考え方
一度アレルギーを起こしたことのある方は注意が必要です。
今までくるみ、ナッツ類を問題なく食べていた方はやめる必要はありません。
- くるみでアレルギーが出たからといって、ナッツ類(カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなど)をひとくくりにして除去をする必要はありません。
ご自身で判断することは大変危険です。必ず医師に相談の上、個別に症状があるかを確認しましょう。 - くるみーペカンナッツ、カシューナッツーピスタチオ の間には強い関連があるとされています。どちらかにアレルギーがあれば、どちらも除去する必要があります。
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参考文献
Helen A Brough et al. J Allergy Clin Immunol. 2020 Apr;145(4):1231-1239. doi: 10.1016/j.jaci.2019.09.036. Epub 2019 Dec 20.Defining challenge-proven coexistent nut and sesame seed allergy: A prospective multicenter European study