コラム

健康診断で糖尿病を指摘されたら?原因・対策・症状・食事について解説

「健康診断で糖尿病の疑いがあると言われたけどどうすればいいの?」

そんなお悩みで当院を受診される方も増えてきています。 2型糖尿病の方の血糖値は、ある日突然高くなるわけではなく本人が知らないうちにだんだん高くなっていき、様々な合併症を引き起こし、死に至ることもある恐ろしい病気です。 2型糖尿病とはいったいなんなのか、初期症状や食事、対策等について今回は解説していきます。

糖尿病とは

インスリンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖という血糖が増えてしまう病気です。

通常、インスリンの働きによって糖は血液中にあふれることなく一定の濃度におさまっているのですが、糖尿病になるとインスリンの働きが不十分なために血液中に糖があふれてしまいます。 血糖値が高い状態が長期間続くと、血管が傷つき、将来的に心臓病や失明、腎不全、下肢切断といった合併症を引き起こします。

また、血糖値があまりにも高い場合は昏睡を引き起こすこともあるため「血糖値が高め」であることを指摘された場合、きちんと治療を行う必要があります。

糖尿病の種類

糖尿病には大きく分けると「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります。
※そのほかにも「その他の特定の機序、疾患によるもの」「妊娠糖尿病」がありますが、今回は1型糖尿病と2型糖尿病についてご説明します。

1型糖尿病

膵臓からインスリンがほとんどでなくなってしまうことで血糖値が高くなります。そのために、インスリン注射をしなければなりません。以前は「インスリン依存型糖尿病」とも呼ばれていました。
糖尿病の方のうち1型糖尿病の割合は10%未満です。若年の方の場合は、1型糖尿病のことが多いですが、年齢に関係なく発症します。
1型糖尿病の原因は正確にはわかっていませんが、①体質②何らかの原因でインスリンを作っている膵臓の一部が破壊されることが要因ではないかとされています。

2型糖尿病

2型糖尿病の場合、膵臓はインスリンを作り出しますが、量が不十分だったり、作られたインスリンが十分に作用しません。
2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で糖尿病の方の90%以上が2型糖尿病です。若年で発症する場合もありますが、ほとんどは40歳を過ぎてから発症します。2型糖尿病の原因は後ほどご紹介しますが、「糖尿病」という病名から肥満や糖の摂りすぎが原因と思われることが多いのですが、実はそれだけが原因ではありません。

2型糖尿病の初期症状は?

ここからは2型糖尿病について解説していきます。
生活習慣病は症状がまったくないまま進行していくことが多いのですが、糖尿病の場合もまさにそうで、初期の段階では、自覚症状がまったくないことが多いので、健康診断等で指摘されて気づく方が多いのです。
下記のような症状がゆっくり少しずつ現れます。

  • 疲れやすい
  • 喉が渇く・水をよく飲む
  • 尿の回数が増える・頻尿
  • 体重が減る
  • 皮膚が乾燥する・痒い
  • 手足の感覚が低下する
  • 手足にチクチク刺すような痛みがある
  • 目がかすむ・見えづらい
  • 勃起不全(ED)
  • 皮膚の傷が治りづらい

さらに血糖値が高くなると意識障害に至ることもあります。

健康診断や人間ドックで糖尿病を指摘されたときにとる3つの行動

2型糖尿病の場合、ある日突然血糖値が高くなるわけではなく、ほとんどの場合、ゆっくりと経年的に血糖値が高くなり糖尿病に至ります。

次のうち、どれか1つでも満たした方は糖尿病の疑いです。

  • 空腹時血糖値(10時間以上絶食後の空腹時の血糖値)126mg/dL以上
  • HbA1c6.5%以上

1. 医療機関受診

健康診断や人間ドックでC判定(要再検査)やD判定(要精密検査)の方は、必ず内科外来を受診し再検査・精密検査を受けるなど医師の指示に従いましょう。

早期に医療の介入をおこなうことで、重い合併症を患わずに済む可能性があります。

2.食生活の改善

食事の量や摂り方に気を付け、膵臓の負担を軽くすることが必要です。摂取カロリー、バランスの良い食事、一日三食を規則的に摂取するということを意識しましょう。

豆知識(体重1kgあたりに必要なエネルギー量)

体重1kgの必要エネルギー×標準体重(kg)=1日に必要なエネルギー量(kcal)
例)身長160cmの主婦:30×56=1,680kcal

室内起居肥満や糖尿病などの人/お年寄りなど25kcal
軽労働サラリーマン/主婦/運転手/など一般的な人30kcal
中労働農繁期の農業従事者/操業中の船員/山林業/機械化されていない工場の工員など35kcal
重労働建設作業員/左官/炭鉱作業員など40kcal

🍽️ 簡単にできる!食事のポイント
✅ 食事の順番はおかずから
食事の最初は、「主食」でなく食物繊維の多い野菜や海藻、きのこなどの「副菜」やたんぱく質が含まれている肉・魚・大豆・卵などの「主菜」から食べるようにしましょう。
✅ よく噛んで腹八分目
よく噛んでゆっくり食べることで急激な血糖値の上昇を抑えると当時に満腹感が出るため食べ過ぎを防ぐ効果もあります。一口30回噛むことを目安にしましょう。
✅ 食事は抜かない・ドカ食いもなし
規則正しい食事摂取で血糖値コントロールと体への負担をおさえましょう。
✅ 寝る前に食べない
寝る前の食事は脂肪として体に蓄積されやすくなります。また、食事のリズムが崩れる原因にもなるため、どうしても食べたい場合は消化が良い低脂肪のたんぱく質や野菜を中心とした食事にしましょう。

3.適度な運動

運動をすることで血液中のブドウ糖が使われて血糖値が下がります。 また、食後の運動は血糖値の上昇を抑える効果があります。 運動により脂肪が減ることで体内のインスリンの働きも良くなります。
1日30分程度の有酸素運動を継続しておこなうようにしましょう。 ウォーキングや自転車、水泳など無理なく生活に取り入れるようにしましょう。 ただし、病状によっては運動が逆効果になることもあるため、医師の指示に従いましょう。

そのほかにも禁煙・節酒・ストレスをためないなどといった日々の生活での対策も重要です。

2型糖尿病の5つの原因

平成24年の調査で、日本全国に950万人の糖尿病が強く疑われる方が存在すると言われています。そして、そのほとんどが2型糖尿病です。

  1. 遺伝的要因
  2. 肥満
  3. 過食や偏食
  4. 運動不足
  5. ストレス

2型糖尿病の原因ははっきりせず、遺伝体質や食生活の乱れ、肥満、ストレスなど様々な要因が重なって発症します。 加齢に伴ってインスリン分泌機能が低下するため、成人で発症することがほとんどですが近年では若年化しています。 糖尿病は一度発症すると残念ながら完全に治ることはありません。

⚠️ こんな方は要注意
✅ 血圧やLDLコレステロール値が高め
✅ 血縁家族に糖尿病の人がいる
✅ 味付けが濃いものが好き
✅ 間食が多い
✅ 運動不足
✅ 肥満気味

2型糖尿病の発症リスクが上がる6つの要因

  1. 年齢
    1歳年を取るごとに男女ともに2%上昇
  2. BMI
    BMIが1kg/㎡増えるごとに男女ともに17%上昇
  3. 糖尿病の家族歴
    家族歴があると男性で2倍、女性で2.7倍上昇
  4. 高血圧
    高血圧があると、男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇
  5. 喫煙
    1日20本以上吸う方は吸わない方と比較して男性で1.4倍、女性で3倍上昇
  6. 飲酒
    1日1合以上飲酒する方は、飲酒しない方と比較して男性で1.3倍上昇

糖尿病を放置するとどうなるの?

きちんと血糖コントロールができれば、合併症などなく糖尿病ではない人と同じような生活を送ることができますが、放置すると腎不全から人工透析になったり、失明、下肢の切断に至る場合もあります。
また、心筋梗塞・脳梗塞などの血管合併症やがん・認知症などとも関連している非常に恐ろしい病気です。

これが怖い!糖尿病の三大合併症とは?

  1. 糖尿病網膜症
    糖尿病のために失明する人は毎年3,000人以上います。成人後の失明原因のトップとも言われています。
    糖尿病網膜症は、自覚症状があらわれずに進行し、気づいた時には失明寸前ということがよくあります。定期的な眼科受診も必要です。
  2. 糖尿病腎症
    高血糖により、糖尿病腎症が起こると透析療法が必要になります。現在国内では毎年新たに3万人以上の人が透析療法を開始していますが、そのうち約4割が糖尿病腎症によるもので透析が必要になる原因のトップです。
    早期腎症⇒顕性腎症前期⇒顕性腎症後期⇒腎不全と進行していきます。
  3. 糖尿病神経障害
    糖尿病神経障害は高血糖によって神経が障害されることで起こります。特に苦痛が大きいのは手足のしびれ・痛みです。また、ひどい下痢や便秘など全身に症状が及びます。

そのほかにも、動脈硬化性の心筋梗塞や狭心症、脳卒中・脳梗塞、免疫力低下により感染症にかかりやすくなったり、高血圧・脂質異常症・骨粗しょう症・歯周病などの合併も高率にみられます。

症状がほとんどないままに進行するため、「サイレント・キラー」とも呼ばれている糖尿病ですが、命を脅かす病気でもあるため、健康診断や血液検査で指摘を受けた場合には、早期の医療機関受診が必要です。

当院でも糖尿病の相談・治療が可能です。

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でも糖尿病をはじめとする生活習慣病の診察が可能です。 全院、駅前で平日はもちろん休日(土日祝)も診療しております。当院では対応が難しい場合や精密検査が必要な場合には責任をもって専門病院を紹介させていただきます。

隔離室も完備しているため、感染症の多い季節も安心です。

健康診断などで糖尿病・糖尿病疑いを指摘されたらできるだけ早めに医療機関を受診し、専門家である医師の指示に従いましょう。 糖尿病は自覚症状がなくても確実に進行していきます。

出典: