コラム

健康診断で脂質異常症を指摘されたら?原因・対策・治療について解説

「健康診断で脂質異常症と言われたけどどうすればいいの?」

そんなお悩みで当院を受診される方も増えてきています。 脂質異常症は通常、自覚症状もなく健康診断で指摘されて初めて自覚される方が多い疾患です。 実際に脂質異常症を指摘されたときにどのような行動をとればよいのか困っている方も多いと思います。 今回は、健康診断や人間ドックで脂質異常症を指摘されたときにとるべき行動や対処方法、そもそも脂質とはなんぞやという点について解説します。 脂質異常症を指摘されて困っている方はぜひご覧ください。

脂質異常症とは

血液中の脂肪分(コレステロールや中性脂肪)が多い、または少ない状態のことを言います。
もともとは「高脂血症」と呼ばれていましたが、現在は「脂質異常症」の一部に含まれています。
血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が基準値より高すぎても、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低すぎても動脈硬化を引き起こす原因となります。
つまり、脂質異常症は動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めると言われています。
だから脂質異常症は危険なのです。
実は推定患者数は220万人ともいわれており、年々数は増えています。

脂質異常症の診断基準

LDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール40mg/dL未満低HDLコレステロール血症
中性脂肪150mg/dL以上(空腹時)高トリグリセライド血症
中性脂肪175mg/dL以上(随時)高トリグリセライド血症
Non-HDLコレステロール170mg/dL以上高non-HDLコレステロール血症
Non-HDLコレステロール150~169mg/dL境界域高non-HDLコレステロール血症
日本動脈硬化学会 編集:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

健康診断や人間ドックで脂質異常症を指摘されたときにとるべき4つの行動

健康診断で脂質異常症を指摘されたら、「生活習慣の改善」をおこなうことが必要です。
脂質異常症は生活習慣病の1つなので、日々の生活習慣を見直し・改善することで脂質を基準値に近づけます。

1. 医療機関受診

脂質異常症を指摘されたら内科を受診し、専門家に相談する必要があります。大病院でもクリニックでも問題ありませんが、予約が取りやすく通いやすいクリニックをまずは受診すると良いです。症状がないから大丈夫という油断は禁物です。

2.禁煙

タバコはHDLコレステロールを減らすだけでなく、LDLコレステロールの酸化を促す作用があるため禁煙は重要です。酸化したLDLコレステロールは血管壁を傷つけて蓄積し、動脈硬化の直接的な原因にもなります。

3.食生活の改善

  • 飽和脂肪酸(肉の脂身やバター、ラード、生クリーム等)を控える
  • 甘いもの、お酒、糖質の摂取量に気を付ける
  • ビタミンC・Eを多く摂る
  • 魚、食物繊維、大豆食品を積極的に摂る

ということを意識しましょう。
現在、「日本人の食事摂取基準」では、食事中のコレステロールについての上限値は設けられていません。
LDLコレステロールが高い人で、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量が非常に多い人は量を控えることでLDLコレステロールが下がりやすいと言われています。
中性脂肪が高い人は、甘いもの、アルコール、油もの、糖質等の摂取過多が原因であることが多いため、摂取量を見直すようにし、青魚を積極的に摂取するようにしましょう。

👆飽和脂肪酸を多く含む食品
 ☑肉類(牛・豚・鶏の脂身や鶏皮)
 ☑バター・生クリーム・チーズ等の乳製品
 ☑ココナッツオイル・パーム油・ラード・マーガリン等の油脂類
 ☑ホワイトチョコレート・ビスケット・ケーキ等のお菓子類
 摂りすぎには注意しましょう。

4.適度な運動と十分な睡眠

少しきついくらいの有酸素運動を毎日30分間程度おこなうことが理想です。いきなり30分の有酸素運動は難しいかもしれないので少しずつでも毎日継続しましょう。「1日1万歩」を目指して歩くこともおすすめします。
また、ストレスや睡眠不足は脂質代謝を弱め、中性脂肪やLDLコレステロールが増えやすくなります。

脂質異常症の6つの原因

生活習慣病と言われている脂質異常症。男性は若くても油断禁物で女性は更年期にあたる50歳前後から注意が必要と言われています。
そんな生活習慣病の原因は大きく6つあります。

  • 過食
  • 運動不足
  • 肥満
  • 喫煙
  • アルコール摂取過多
  • ストレス

お腹の中に脂肪が蓄積される「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。

👆遺伝で脂質異常症になることもある?
遺伝的な要因で起こる「家族性高コレステロール血症」というものがあります。遺伝性ではないタイプの脂質異常症と比較してLDLコレステロールの値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが多いです。
血縁家族で脂質異常症や60歳未満などで心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高いです。受診の際には、家族歴も医師に伝えるようにしましょう。

脂質異常症を放置するとどうなるの?

脂質異常症の有無を調べる脂質検査の項目は、健康診断の必須項目です。 それは、脂質異常症を放置すると、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化が原因となる命にかかわる病気を発症するおそれがあるからです。

動脈は心臓から送り出される血液を全身に運んで栄養や酸素を全身にいきわたらせる役割の血管です。血液は勢いよく押し出され、その圧に耐えるために動脈には柔軟性が備わっています。 動脈硬化というのは、この血管の柔軟性が失われて硬くなってしまう状態のことです。 脂質も動脈を通って全身に運ばれますが、脂質異常症などの場合、LDLコレステロールなどの脂質が蓄積し、プラークと呼ばれるコブのようなものができます。 心臓に血液を送る動脈にプラークができ、血管を圧迫して狭くなったり、破裂して血管が詰まったりすることで狭心症や心筋梗塞を引き起こします。 また、脳内の動脈などにプラークができることで脳梗塞の原因にもなります。

このように、脂質異常症は「すぐにどうにかなる」病気ではなく、長い時間をかけて動脈硬化を進行させて命にかかわる病気を引き起こす可能性があるのです。 早期に適切な対策・治療をおこなえば動脈硬化を予防したり改善したりすることもできるので、脂質異常症を指摘された場合には、将来の重篤な病気の発症を食い止めるためにも内科を受診し、医師に相談しましょう。

当院でも脂質異常症の相談・治療が可能です。

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でも脂質異常症をはじめとする生活習慣病の診察・治療が可能です。 全院、駅前で平日はもちろん休日(土日祝)も診療しておりますので脂質異常症の定期通院の際にも便利です。

また、生活習慣病の治療経験が豊富な医師や循環器内科を専門とする医師が在籍しておりますので安心してご相談いただけます。 隔離室も完備しているため、感染症の多い季節も安心です。

健康診断などで脂質異常症を指摘されたらできるだけ早めに医療機関を受診し、専門家である医師の指示に従いましょう。 脂質異常症は自覚症状がなくても確実に進行していきます。

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