コラム

もしかしてそのいびき、病気かも?!|いびきの原因・関連する病気・治療について解説

いびきは熟睡の証ではない!

電車の中や病院の待合室、マッサージ店での施術中、または家のソファで横になっている家族等、いびきをかいて眠る人を見たことはありませんか?
いびきをかいて寝ていると、「疲れているんだなぁ」「よく眠っているなぁ」「熟睡できていいなぁ」と思ってしまいますが、これは危険な思い込みです。
特に慢性的にいびきをかく場合には、大きな病気が隠れている可能性があるため、注意する必要があります。

いびきが起こるメカニズム

「いびき」は、睡眠中に狭くなった喉で呼吸することで起こります。
寝ている間は、舌のつけ根が奥へ下がったり、周辺の筋肉が緩んだりするため、喉が狭まります。
健康であれば、極端に狭くなることはないので、寝息程度の音しかしません。
ですが、異常がある場合には、喉の狭まりがひどくなってしまいます。
喉が狭くなれば、呼吸がしづらくなり、息苦しさから無意識に息を思いきり吸いこもうとします。これが大きな「いびき」となって現れてくるのです。
例えば、お酒をたくさん飲んだ時や疲れている時、風邪をひいた時にも、いびきをかきやすくなります。こうしたいびきは一時的であれば異常なものではありません。しかし、慢性的にいびきをかく場合には注意が必要です。

生活習慣病といびきの関連性

いびきをかくのは、全体の28%程度といわれていますが、これを男性に限定して見ると41.5%に跳ね上がります。また年代別に見ると、毎日いびきをかくのは、特に中高年の男性に多いようです。
いびきをかく人の共通点としてよく挙げられるのは「肥満体型」です。
太ると、舌や喉の内側にも脂肪がつくため、喉が狭くなりますし、寝る時に横向きになりにくく、あお向けで寝ることが多いため、いびきをかきやすくなります。この「肥満体型」は「生活習慣病」と密接に関係しています。
つまり「いびき」をかきやすい「肥満体系」の人は「生活習慣病」になりやすいということになります。
例えば、大いびきをかくと睡眠中に酸素がうまく取り込めず、不足した酸素を補うために心拍数が増え、血圧上昇の原因となります。さらに血液中の酸素濃度が低下すれば、二酸化炭素濃度が高くなり、血管の収縮が起こります。
こうした血圧の上昇や血管の収縮の繰り返しによって、高血圧や狭心症、心筋梗塞、狭心症、糖尿病などの合併症が引き起こされるといわれています。

大きな事故に繋がりかねない「睡眠時無呼吸症候群」

慢性的ないびきには、「睡眠時呼吸障害」という病名がつけられています。
その中でも症状が重いものの中に「睡眠時無呼吸症候群」があります。
この「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠中に何回も呼吸が止まってしまうというものです。
大いびきをかきながら寝ていると、ふとそのいびきが止まります。それは喉がふさがって、呼吸が止まっているからです。
こうした症状をくり返すと、睡眠を取っても脳や体の疲れがとれず、起きていても意識がぼんやりとしてミスをするケースが増えていきます。運転中に居眠りをしてしまえば、大きな事故にも繋がりかねません。
ですので、睡眠時に大きないびきをかいたり、きちんと寝ているのに日中に我慢できないほどの眠気に襲われたりする場合は、「睡眠時無呼吸症候群」を疑って病院でご相談することをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群にみられる主な自覚症状

  • 睡眠中の大いびき
  • 起床時の頭痛
  • きちんと睡眠時間を取っているのに、起床時の熟睡感がない。
  • 日中の強烈な眠気
  • 仕事中に集中力が低下し、ミスが増えた。

いびきを放置すれば突然死のリスクも

軽いいびきであれば、自分で治すことができます。最も簡単な方法は、あお向けではなく、横向きに寝ることです。
横向き寝は、あお向け寝ほど喉が狭くならないため、これだけでもいびきが軽くなる人は少なくありません。
しかしながら肥満体型であると横向きで寝るのは難しいため、まずは肥満を解消することが良いでしょう。
寝ている間にあお向け寝に戻ってしまう場合は、抱き枕を使ったり、背中にまるめた毛布を置いたりするという方法もあります。
また、いびきの原因となる口呼吸を防ぐため、マウスピースを使うことも効果的です。
マウスピースは市販品を買うことも可能ですが、自分の口に合うオリジナルのものを歯科等で作ることもできますので、一度受診し、使用方法や効果、価格などを確認してみましょう。
しかし、「睡眠時無呼吸症候群」のように重症化している場合は、放置すれば突然死のリスクも出てきますので、早めに受診することをお勧めします。
呼吸器科や耳鼻咽喉科、最近では「いびき外来」という専門の診療科も出てきていますので、ご自身の通いやすい病院やクリニックを探してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

当院では、「ご自宅で」睡眠時無呼吸症候群の診断(検査)〜治療が可能です。
金銭的な負担が少なく(入院した場合の3分の1の価格)、お忙しい方にもご利用いただけます。
検査や治療については下記ページをご確認ください。

検査の結果、治療の適応と判断された場合は、CPAP療法という治療をおこないます。
ご自宅で鼻や口にマスクをあてて寝るだけです。

フィリップス・レスピロニクス合同会社より

CPAPは月額4,500円程度で可能です。

睡眠時無呼吸症候群の合併リスク

睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、日中の生活のパフォーマンスが落ちてしまうだけではなく、心臓・脳・全身の血管(動脈)に負担がかかります。
多くの研究データから、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や心臓病(不整脈、心筋梗塞など)、脳卒中などの合併リスクが以下のように上がることが知られています(健常者と比べて)。

高血圧約2倍
狭心症・心筋梗塞2~3倍
慢性心不全約2倍
不整脈2~4倍
脳卒中約4倍
糖尿病2~3倍
循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.Circ J74(Suppl.Ⅱ).963-1084.2010.
Eur Respir J 2016; 47: 1162-1169
JAMA 2011; 306: 613-619

当院でもいびきの相談・検査が可能です

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では週7日毎日内科外来をおこなっておりいびきに対する睡眠時無呼吸症候群の検査やCPAP療法の対応が可能です。全院、駅前で土日祝も診療しています。
隔離室も完備しておりますので感染症の流行期も安心してご受診いただけます。
当院で対応が難しい場合には、責任をもって専門病院を紹介させていただきます。
睡眠時無呼吸症候群は女性にも多い疾患です。当院でも多くの方が相談にお越しになり、治療をおこなわれているのでお気軽にお越しくださいませ。