
リンゴ病は、頬が赤くなる発疹を特徴とするウイルス感染症です。子どもに多い病気ですが、おとなでもかかることがあり、妊婦が感染した場合は注意が必要です。最も感染力が強いのは、発疹が出る前の風邪のような症状の時期です。
この記事では、初期症状や感染経路、受診の目安、家庭でのケア方法まで詳しく説明します。
リンゴ病とは頬が赤くなる発疹が特徴的な感染症
リンゴ病は、ヒトパルボウイルスB19によるウイルス感染症です。正式な病名は「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」です。主に5〜9歳、次いで0〜4歳の子どもに多く見られます。
一方で、おとなが感染することもあり、特に妊婦の場合は注意が必要です。
リンゴ病の最大の特徴は、頬に現れる赤いリンゴのような発疹です。それに先立って、風邪のような症状が現れます。この症状が見られるのは、発疹が出現する7~10日ほど前です。
そして、頬に発疹が現れたあとには、体や手足にも網の目のような発疹が見られます。これらの発疹が消えるまでの期間は1週間程度です。
リンゴ病は、年始から初夏にかけて患者数が増加し、秋口には減少する傾向があります。ただし、流行が少ない年には、明確な季節性が見られない場合もあります。
リンゴ病の初期症状は?
子どもがリンゴ病にかかった場合、初期に発熱、鼻水、頭痛、関節痛、軽い咳などの風邪に似た症状が現れます。これらの症状は、発疹が出る7〜10日ほど前に見られます。この時期はまだ頬の赤みが出ていないため、単なる風邪との区別がつきにくいです。
特に注意が必要なのは、発疹が出る前の時期が最も感染力が強いという点です。数日で回復することが多い病気ですが、周囲への感染を防ぐには初期症状を理解しておく必要があります。
リンゴ病の子どもとおとなの症状の違い

リンゴ病はおとなにも感染する可能性があります。子どもとおとなの症状には、以下のような違いがあります。
| 子どもの症状 | おとなの症状 |
|---|---|
| ・風邪のような症状 ・頬がリンゴのように赤くなる発疹 ・体や手足に網の目のような発疹 | ・関節痛や関節炎が強く出ることが多い(特に女性) ・頭痛 ・症状が長引きやすい ・発疹は目立たないか典型的ではないことが多い |
リンゴ病は、一度感染すると免疫ができます。子どものころにかかっていれば、再び感染することはありません。
妊婦がリンゴ病に感染するとどうなる?

妊婦がリンゴ病に感染すると、まれに胎児に影響を及ぼすことがあります。特に妊娠28週未満での感染では、胎児水腫などの異常が起こる可能性があります。また、流産や死産につながることもあるため注意が必要です。
妊娠中にリンゴ病が疑われる場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。診察の際は、症状や血液中の抗体の有無から感染を判断します。また、赤ちゃんの様子を確認するために、超音波検査も行います。
リンゴ病の流行期には人が多く集まる場所を避け、手洗いやマスクなどの基本的な感染対策を心がけることが大切です。
リンゴ病の感染経路と予防方法
リンゴ病の原因ウイルスであるヒトパルボウイルスB19は、主に飛沫感染と接触感染によって広がります。それぞれの予防方法をご紹介します。
| 主な感染の仕方 | 予防方法 | |
|---|---|---|
| 飛沫感染 | 感染者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染 | ・マスクの着用 ・咳エチケットの徹底 ・換気を行う |
| 接触感染 | 感染者の手や、ウイルスが付着した物品(食器・タオル・おもちゃなど)から、口・鼻を通して感染 | ・手洗いやうがいをこまめにする ・タオルや食器の共有を避ける |
リンゴ病には、ワクチンや特効薬がありません。家庭や職場、保育園などにおいては、日常的な衛生管理と体調の変化に注意することが大切です。
リンゴ病の受診の目安と治療・家庭での対処法

リンゴ病は多くの場合、軽症で自然に治りますが、症状の出方や体調によっては医療機関の受診が必要なこともあります。ここでは、受診の目安と家庭でどのように過ごすべきかを紹介します。
リンゴ病を発症したときの受診の目安
次のような場合は医療機関への受診を検討しましょう。
- 高熱が続く
- ぐったりしている
- 水分が取れない
- 発疹が強いかゆみを伴う
- 関節痛が強い(おとなの場合)
- 感染が疑われる(妊婦の場合)
- リンゴ病かその他の病気か区別がつかない場合
リンゴ病の治療方法と家庭での対処法は?
リンゴ病は、多くの場合自然に回復するため、特別な治療法はありません。発熱の症状がある場合は、解熱剤による対症療法が行われます。家庭では、十分な休養と水分補給を心がけることが大切です。
リンゴ病の発疹が出ているときは、すでにほとんど感染力がありません。体調が安定すれば、通常の生活に戻れます。
FAQ|リンゴ病に関するよくある質問

リンゴ病は比較的症状の軽い感染症ですが、登園や出勤のタイミング、似た病気との見分け方など、日常生活の中で迷う場面も多いでしょう。
ここでは、よくある疑問にお答えします。
リンゴ病は、発疹が出るころには感染力がほとんどなくなっているため、学校保健安全法でも出席停止の対象ではありません。
発熱や倦怠感がなければ登園・登校・出勤しても問題ありませんが、体調がすぐれない場合は無理せず休みましょう。
麻疹・風疹・突発性発疹なども発疹を伴う病気です。しかし、リンゴ病は頬がリンゴのように赤くなること、体や手足に網の目のような発疹が出ることが特徴です。
ただし、発疹が出るころには熱が下がり、元気に見えることも多いため、見分けづらい場合があります。判断が難しいときは医療機関を受診しましょう。
リンゴ病は自然に治ることが多いため落ち着いて対応を
リンゴ病は多くの場合、自然に回復することが多い感染症です。発疹が出るころには感染力が弱まり、子どもも元気になっていることがほとんどです。
ただし、妊婦や免疫機能が低下している人は注意が必要です。症状が強い場合や不安があるときは、早めに医療機関へ相談しましょう。
正しい知識を持って落ち着いて対応すれば、過度に心配する必要はありません。流行期には日ごろの手洗いやマスクの着用を心がけましょう。
当院ではLINEによる診療予約を導入しております。
LINEから予約のキャンセル・変更も可能です。
LINE予約で問診票もご記入いただけますので、ぜひご利用ください。