蕁麻疹が突然現れたら、真っ先にアレルギーを疑うかもしれません。
しかし、蕁麻疹を引き起こす原因はアレルギーの他にも様々であり、疲れやストレスが引き金となっていることもあります。
今回は、蕁麻疹について解説していきます。
蕁麻疹とは
蕁麻疹は、皮膚の疾患のひとつで、突然、皮膚の一部が赤くくっきりと盛り上がる膨疹という症状が現れます。その多くはかゆみを伴い、チクチクとした皮膚の痛みを感じることもあります。症状は数十分で消えるものから半日程度残るものまで様々ですが、大抵は24時間以内にはおさまり、跡を残さずに消えてしまいます。
また、重症な場合には、アナフィラキシーとよばれ危険な状態となります。
具体的な症状としては、腹痛・下痢(腸管の浮腫)、喉が腫れて(喉頭浮腫)呼吸困難に陥ったり、血圧低下(ショック)などがあげられます。
蕁麻疹の症状は?
蕁麻疹の症状は大きく2つに分けられます。
膨疹(皮膚の膨らみ)
膨疹の多くは数時間以内に跡も残さずに消失してしまいます。
大きさは数mmから手のひらより大きいものまで様々であり、膨疹が集合して地図状にひろがることもあります。
むくみ
むくみはかゆみを伴って現れます。
その境界線がわかりにくいことが特徴です。
症状の消失までの時間は、1か月以内に治癒する方が90%、1週間以内に寛解する方は70%です。
それ以上長く続く場合には、「慢性蕁麻疹」という種類と診断されます。
蕁麻疹の種類はどのようなものがある?
蕁麻疹は原因や症状の現れ方に特徴のあるものがあり、いくつかに分類されています。
しかしながら、様々な原因・誘因が複数関係して蕁麻疹が起こることがあるうえに、二種類以上の蕁麻疹が併発する場合もあることから、必ずしも明確に分類できるというわけではありません。
自己判断で「この種類の蕁麻疹だろう」と決めつけ、誤った対処をしてしまったり、放置してしまうと治癒に時間がかかることがあるため、注意が必要です。
慢性蕁麻疹
毎日のように症状が繰り返し現れている蕁麻疹のうち、発症から1か月以上経過したものが当てはまります。
多くは、原因を明確に特定することができないとされています。
治癒に時間がかかることが多いため、慢性蕁麻疹にならないように医療機関へ相談して早めに治療を始めることが大切です。
急性蕁麻疹
毎日のように症状が繰り返し現れている蕁麻疹のうち、発症から1か月以内のものが当てはまります。
多くは、細菌やウイルス感染、寒暖差、ストレスや疲れが原因となって引き起こされていると言われています。
アレルギー性蕁麻疹
食べ物、薬品、また天然ゴム製品を含む植物など特定の物質に曝露されることによって生じる蕁麻疹です。その物質に対するIgE抗体を介したアレルギー反応で、曝露後数分〜数時間以内に現れます。
食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の服用後の食事や、特定の食べ物を摂取した後の運動(多くは2時間以内) によって引き起こされる重症のアレルギー反応です。
イントレランス
アスピリンなどのNSAIDs、造影剤や色素、食品に含まれるサリチル酸などによって引き起こされ、IgEが関与しない蕁麻疹です。
物理性蕁麻疹
物理的刺激によって引き起こされる蕁麻疹です。
皮膚への機械的刺激や圧迫、振動、日光照射、水との接触や寒冷・温熱などの刺激が主な原因となります。
コリン性蕁麻疹
運動や入浴など、汗をかくと症状が現れる蕁麻疹です。小児から若い成人に多くみられます。
膨疹の一つ一つの大きさは小さく、およそ1〜4mmです。
血管性浮腫
まぶたや唇が突然腫れ上がり、消失まで2〜3日ほどかかります。かゆみは伴いません。
しばしば遺伝性のものである可能性もあります。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹はアレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹に大別されますが、蕁麻疹を引き起こしている原因物質は「ヒスタミン」という成分と考えられています。
普段は皮膚組織内にあるマスト細胞という細胞の中に蓄えられているヒスタミンが、何らかのきっかけで放出されたとき、血管が反応して蕁麻疹を生じさせるとされています。
蕁麻疹を引き起こす一般的な原因として、下記のものが考えられます。
食べ物
食べ物が蕁麻疹を引き起こすことがあり、代表的な食べ物として、甲殻類(エビやカニなど)、果物や乳製品、青魚(サバやアジなど)、肉類(豚肉など)が挙げられます。
また、食べ物によって引き起こされる蕁麻疹にも、アレルギー性蕁麻疹と非アレルギー性蕁麻疹があります。
アレルギー性蕁麻疹であった場合は、食べ物に含まれるアレルゲンによってヒスタミンが放出されることで、アレルギーの症状としての蕁麻疹が起こります。
非アレルギー性蕁麻疹であった場合、食べ物の中に多量のヒスタミンが自然に含まれていることがあり、その食べ物を体内に入れることで蕁麻疹を引き起こします。そのため、以前蕁麻疹を引き起こした食べ物と同じものであっても、その材料や食べた時の体調などによって蕁麻疹が現れないことがあります。
疲れ、ストレス
蕁麻疹は体の疲れやストレスなどの心理的要因によって引き起こされることもあります。
疲れやストレスを溜め込んでしまうと、様々な病気を引き起こしたり悪化させたりすることがあります。同様に、蕁麻疹の発症や悪化の原因にもなります。
環境の変化がストレスとなって蕁麻疹が現れるようになることもあれば、環境の変化によって疲れやストレスを溜め込まないようになると、毎日のように繰り返していた蕁麻疹がぱったりと現れなくなるということもあります。
その他に考えられる原因
日光による体温の上昇や寒冷刺激、運動や入浴による発汗などもヒスタミンを放出させる原因となります。
特定の食べ物を摂取した後の運動によって引き起こされる蕁麻疹は、その食べ物を避けるか、食べてしまった場合には運動を避けることで症状の発生を回避できます。
原因が判明している蕁麻疹は、そのほとんどがストレスや寒暖差によるものです。
蕁麻疹が現れた際は、疲れやストレスを溜め込んでいるサインと考えて、休息をとるようにすることが大切です。
蕁麻疹の検査
特異的IgE抗体検査
採血によって血液中のIgE抗体を測定し、各物質に対する免疫反応を調べる検査です。
プリックテスト(皮膚テスト)
蕁麻疹の原因として疑われる食べ物や薬を水などで薄めたものを皮膚に少量押し付けるような形で入れて、症状が誘発されるか検査します。(当院では実施しておりません)
負荷試験
蕁麻疹の原因として疑われる食べ物を実際に摂取したり、原因となる行為を行ったりして反応を調べる検査です。(当院では実施しておりません)
蕁麻疹の診断
アレルギー性のものの判定は比較的容易です。しかし、血液検査の結果については特定の物質を原因と断定することはできないため、参考程度と捉えるようにしましょう。
また、食べ物によるアレルギー反応はごく一部であるため、急性蕁麻疹においては原因物質の特定までは行わず、治療を始めることもよくあります。
お子様の蕁麻疹の場合は、蕁麻疹が出てきた時間やタイミングを注視するようにしてください。通常の蕁麻疹の場合、長くても1時間以内で消失します。
繰り返し症状が現れる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
蕁麻疹の治療
蕁麻疹は原因物質を特定できないことが多いため、原因特定よりも先行して抗ヒスタミン薬の服用を行います。眠気が気になる方も多いかと思いますが、近年の比較的新しい薬は眠気もきづらかったり、寝る前に一回内服すればよい薬もありますので医師に相談しましょう。
一般的には、外用薬(塗り薬)よりも内服薬(飲み薬)の方が蕁麻疹に効果が期待できます。
蕁麻疹は短期間で症状が消失することが多いですが、繰り返すこともあります。内服を一定期間行い、減量を少しずつ行うことが慢性化させないためには重要です。
また、症状が長く続く場合は医師へ相談しましょう。蕁麻疹の治療薬の種類は多く、患者さんに一番合うお薬を探していき、ゆっくりと薬を減らしていきます。
蕁麻疹になった時、注意すべきことは?
食事
蕁麻疹を引き起こさないため、原因となる食べ物や飲み物には注意しましょう。
動物性たんぱく質や油、アルコールや辛いもの、チョコレートなどは蕁麻疹を生じやすくしている可能性があるため、症状が現れている時や体調が良くない時に摂取することは控えましょう。
肉体的・心理的負担の改善
疲れやストレスを溜め込まないこと、心と体両方が健康であることは、蕁麻疹をはじめとした病気の予防に繋がります。
疲れやストレスの発散を行って、心身への負担を減らすように心がけましょう。
当院でもアレルギーの相談やアレルギー検査が可能です
エキクリが運営する
でもアレルギー検査やアレルギーの相談をおこなっています。
全院、駅前で休日(土日祝)含む毎日診療しており、すべてのお時間で検査も対応しております。
隔離室も完備しておりますので感染症の流行期も安心してご受診いただけます。
当院で対応が難しい場合には、責任をもって専門病院を紹介させていただきます。