コラム

インフルエンザの予防接種|副反応、注意すべき症状は?

インフルエンザの予防接種は副反応を起こす可能性があります。

その症状はさまざまで、数日程度で治まるものが多いのですが、非常にまれに副反応が生死にかかわることもあります。しかしながら、インフルエンザの予防接種は、インフルエンザの発病の予防や、発病後の重症化、死亡を防ぐことに一定の効果があるとされています。特に、重症化しやすいとされる子どもほど予防接種が推奨されています。

今回は、インフルエンザの予防接種を安心して受けられるよう、主な副反応や注意すべき症状について解説していきます。

インフルエンザの予防接種の副反応やその症状

副反応は軽微なものから生死にかかわるほど重篤なものまでさまざまです。

接種した部位の赤みや腫れ、痛み

接種した方のうち10〜20%に見られる症状で、通常は2〜3日で治まります。ただし、腫れが引かなかったり、広がったりする場合には医師へご相談ください。また、かゆみが出る場合がありますが、かきむしらずに、腕を冷やすなどの対処を行ってください。

発熱や頭痛、倦怠感

接種した方のうち5~10%に見られる症状で、通常は2~3日で治まります。ただし、38度以上の熱が続く場合には医師へご相談ください。

腹痛や下痢

まれに見られる症状で、通常2~3日で治まります。消化に良い食事とこまめな水分補給を行って脱水症状を引き起こさないよう注意しましょう。

非常にまれに見られる重篤な副反応

アナフィラキシーショック

通常、接種後30分以内に反応が起こり始めます。蕁麻疹などの皮膚症状、めまい、腹痛や嘔吐、下痢、呼吸困難といった症状が急激にあらわれます。症状が起こり始めたら、すぐさま適切な処置を行わなければなりません。

喘息発作

喘息の持病があるという場合に、ワクチンで誘発される可能性があります。呼吸時にゼーゼーという音が出たり(喘鳴)、咳や痰、呼吸困難になる恐れもあります。接種後2~4週間以内に発作が出た場合は、早急に医療機関を受診してください。

ギランバレー症候群

症状があらわれるのは接種後すぐであったり、数週間経過後であったりさまざまです。手足のしびれ、麻痺、筋力低下といった症状があります。手足に異変を感じたら早急に医療機関を受診してください。

肝機能障害や黄疸

ワクチンによって肝機能が低下することがあります。眼球結膜(白眼)や皮膚が黄色くなり、肝硬変や肝臓がんなどが引き起こされることもあります。

急性散在性脳脊髄炎

接種後10〜14日後に発症する場合が多く、頭痛や発熱、嘔吐を伴い、けいれんや意識障害が見られます。脳や脊髄などに炎症を来し、重い後遺症を残したり、死に至る可能性も高い疾患です。

注意すべき症状

インフルエンザの予防接種で起こりうる重篤な副反応に対して、いち早く適切な対処を行うために、副反応の前兆となる症状があらわれていないか、慎重に観察しましょう。

以下の症状があらわれた際は、迷わず早急に医療機関を受診しましょう。

  • 動悸、息切れや息苦しさ
  • 嘔吐
  • 蕁麻疹
  • 唇の腫れ
  • 目の痛みや目元の腫れ、視力低下
  • 冷や汗
  • ふらつき
  • 手足の力が入りにくかったり、歩きにくさがあったりする
  • けいれん
  • 血圧低下
  • 動作の鈍化
  • 口のもつれ
  • 物忘れ
  • 意識障害

予防接種後の過ごし方の注意

予防接種の副反応の多くは接種後24時間以内に症状が現れます。重篤な副反応の前兆を見逃さずに早めに対処するためにも、また、ワクチンの効果を十分得るためにも、予防接種後の過ごし方には注意すべきものがあります。まず、予防接種の当日は激しい運動を控えましょう。抗体をしっかり作るためには、からだが元気な状態である必要があります。日常生活程度の運動(階段の昇り降りなど)であれば問題なく行うことができます。また、接種後1時間経過後も目立つ副反応が現れない場合には入浴は問題ありません。ただし、接種した部位を強くこすって洗ったりしないようにすること、長く浴槽につからないことに注意しましょう。シャワーのみにするのも良いでしょう。

子どもの予防接種後 過ごし方の注意

自分のからだの状態を伝えることが難しい子どもである場合には、保護者など周りの大人が副反応を見逃さないように注視しなければなりません。また、接種後30分は安静に過ごさせるようにしてください。13歳未満の子どもには2回の接種が推奨されています。子どもは大人と比べて免疫がつきにくいためです。1回目の接種から2〜3週間あけて2回目の接種を受けてください。

大人の予防接種後 過ごし方の注意

予防接種後の飲酒は禁止されていません。しかし、大量の飲酒は副反応が現れた場合に長引かせたり、悪化させたりする可能性があります。接種日から2〜3日間は、大量の飲酒は避けることをおすすめします。

予防接種後の気になる症状や不安なことがある時は、医師に相談を

重篤な副反応の前兆となる症状はもちろん、気になる症状があらわれた場合には医療機関を受診し、医師へ相談することを忘れないようにしてください。

また、軽微な副反応についても、長引いたり、悪化したりしている場合には医師へご相談ください。