コラム

ロタウイルス感染症とは?症状や病院に行くべき目安、予防方法を解説

ロタウイルス感染症とは乳幼児の間で流行する胃腸の感染症。感染力が強く、お子様を持つ方は適切な感染対策を理解しておくことが大切です。本記事では、ロタウイルス感染症の特徴や症状、治療方法などを解説します。乳幼児が感染してしまった後の対応方法も解説しているため参考にしてください。

ロタウイルス感染症の特徴

ロタウイルス感染症とは、ロタウイルスによって引き起こされる胃腸炎。0〜6歳児に感染しやすく、乳幼児の重い胃腸炎の原因となることが多いです。毎年3月から5月の間に流行します。

感染力が強く、わずか10〜100個程度のウイルスが体内に入るだけで発症する恐れがあります。主な感染経路は以下の通りです。

接触感染ウイルスが付着した手で口に触れることで感染する
経口感染ウイルスに汚染された食品を摂取することで感染する

感染している患児の便には、ウイルスが多く含まれています。便処理と便処理後の手洗いは適切な方法で実施する必要があります。

ロタウイルス感染症が疑われる症状と病院にいくべき目安

大人の場合は、これまでにロタウイルスに何度も感染して免疫を持っていることが多く、症状が出ることは少ないとされています。しかし、乳幼児の場合は、重い症状が現れることが多いため注意してください。特に初めて感染した場合は、重い症状が出る傾向があります。主な症状は以下の通りです。

  • 水のような白い便
  • 吐き気
  • 嘔吐(おうと)
  • 発熱
  • 腹痛

下痢や嘔吐は3〜8日程度で軽快し、発熱も半日から1日で治ります。しかし、下痢や嘔吐により脱水が悪化すると、けいれんや意識の低下などが現れることがあります。けいれんや意識障害が現れた際は、速やかに病院で受診してください。

ロタウイルス感染症の治療方法

ロタウイルスに効果がある治療薬はありません。そのため、下痢や嘔吐による脱水に対して、水分補給や点滴を行う治療が中心になります。体力を消耗しないために、栄養補給を行い安静にすることも大切です。

重症度に応じた治療方法は以下の通りです。

軽度経口補液(脱水治療に用いる飲み物)、整腸剤(善玉菌を増やして腸内環境を整える薬)の投与。または外来での点滴。
中等症以上入院して点滴と経口補液の併用。
合併症がある場合合併症に応じた治療を実施。

腸の動きを止める下痢止めの薬は、ウイルスの排出を妨げ感染症の回復を遅らせる可能性があるため、使用しないことが推奨されています。

ロタウイルス感染症を予防するワクチンについて

ロタウイルスに有効な治療薬はありませんが、予防に有効なワクチンはあります。ここでは、ワクチンの効果と対象者、副反応と接種を受けられない方について解説します。

ワクチンの効果と対象者

ワクチンを適切に接種することで、ロタウイルスによる入院患者を約70~90%減らせたという報告があります。ワクチンの接種対象者は以下の通りです。

ワクチン名対象者
ロタリックス(2回接種のワクチン)生後6〜24週の間の乳児
ロタテック(3回接種のワクチン)生後6〜32週の間の乳児

ワクチンは2回接種と3回接種の2種類がありますが、どちらも同様の効果があります。初回接種は、生後14週6日までに受けることが推奨されています。

副反応と接種を受けられない方について

ワクチン接種後に以下のような副反応が見られた際は、速やかに医療機関に相談しましょう。

ワクチン名副反応
ロタリックス発熱、下痢、食欲の低下、嘔吐、血の混じった便、腹痛、腹部の張り、胃腸炎、咳、鼻水、皮膚炎、ぐずりやすくなるなど。
ロタテック発熱、下痢、嘔吐、便秘、胃腸炎、中耳炎、鼻水、咳、喉の痛み、皮膚の腫れ、蕁麻疹(じんましん)など。

以下に該当する方は、ワクチン接種を受けられないため注意してください。

  • ロタウイルスワクチンの接種によりアレルギー反応があった方
  • 消化器に障害がある方
  • 腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)にかかったことがある方
  • 生まれつき免疫に障害がある方
  • 発熱している方
  • 重い急性の病気にかかっている方

乳幼児がロタウイルスに感染してしまった後の対応方法

子どもがロタウイルスに感染してしまった場合は、感染を広げないために以下のような対応を実施してください。

  • オムツを交換する際は使い捨ての手袋を着用して行う
  • オムツはポリ袋に入れてしっかり密閉して捨てる
  • 手洗いは指輪や時計を外して石鹸で30秒以上しっかりもみ洗いする
  • 衣類が便で汚染された際は家庭用塩素系漂白剤でつけ置きして消毒する

消毒したあとの衣類は他の衣服と分けて洗濯してください。なお、アルコール消毒は効き目が弱いです。

適切な対策によりロタウイルス感染症を予防しよう

ロタウイルスは感染力が強いウイルスです。乳幼児が発症すると重い症状が現れることがあるため注意が必要です。特に3月から5月の流行時期や子どもが感染してしまった際は、適切な感染対策を実施してください。

ワクチンによる予防も有効です。生後14週6日までのお子様をもつ方は、ワクチン接種を検討してもよいでしょう。

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