感染症ごとのワクチン

日本脳炎

日本脳炎について

感染経路

日本脳炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖し、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播します。ヒトは、ブタから感染した蚊に刺されて感染します。(ブタ⇒蚊⇒ヒト) ウイルスを媒介する蚊はコガタアカイエカで、夕方~朝方にかけて活発に活動します。日本をはじめ多くのアジア諸国に生息しています。 なお、日本脳炎は一般的にヒト-ヒト感染は起こらないと考えられています。

症状

ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ません(不顕性感染)。感染した人の0.1~1%程度の割合で発病すると言われており、通常6~16日程度の潜伏期間の後、高熱、嘔気・嘔吐、頭痛といった症状が出現します。次いで、意識障害、痙攣、筋肉の硬直、異常行動等があらわれます。 重症化した方の50%が死亡するといわれ、生存者の30~50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。

日本脳炎のリスクのある地域

日本、韓国、中国、ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、ネパール、バングラデシュ、インド、スリランカ、パプアニューギニア、台湾、ブルネイ、パキスタン、シンガポール、米領グアム、米領サイパン、オーストラリア(クイーンズランド州北部)、ロシア(極東部)

定期接種をされていない方

2005年~2009年にかけて日本脳炎ワクチンの積極的接種勧奨が差し控えられたことにより、定期接種を受ける機会を逃した方がいらっしゃいます。その方を特例対象者とし、定期接種の救済措置がとられています。接種を希望される方は一度市区町村へお問い合わせください。

特例対象者平成7年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれた方で4歳以上20歳未満に該当する方

渡航の際の注意点

日本からパキスタンまで東アジア・東南アジア・南アジア一帯で日本脳炎は流行しており、年間3万~5万人程度の感染者がいるとされています。 中国や韓国では、夏から秋に、インド北部やネパールなどでは6月から9月頃の雨期に、蚊の発生が多くなります。他の熱帯地域では、年間を通して防虫対策を心掛けましょう。

ワクチン接種を推奨する方

  • 蚊が活動する季節に1ヶ月以上滞在予定の方
  • 郊外での野外活動や農作業をする方
  • 日本脳炎ワクチンの接種歴が不明な方
  • 頻繁に流行地を訪問する方

定期の予防接種を完了していても、予防接種の有効期間は3~4年といわれています。この期間を経過した後に、流行地域(特に農村部)に長期間滞在される方は、追加で1回接種し、以後3~4年ごとに接種することを推奨します。虫よけスプレーや蚊取り線香などを利用し、肌を露出しない服装をしましょう。

当院で接種可能なワクチン

日本脳炎ワクチン(ジェービックV)

料金8,800円 / 回
税込表記
適応年齢指定なし(3歳未満の方は0.25mLを投与)
接種回数25歳以上の方は3回(初回から1~4週間の間隔で2回目、初回から1年程度の間隔を空けて3回目接種する)
接種方法皮下注射
持続期間5年程度

副反応

全身症状として、発疹・咳・下痢・鼻汁・発熱・頭痛・鼻出血・倦怠感などがあります。局所症状として、紅斑・腫脹・疼痛・痒みなどがみられることがありますが、通常、数日中に消失します。また、ごくまれにショックやアナフィラキシー様症状(蕁麻疹・呼吸困難・血管浮腫など)、急性散在性脳脊髄炎(接種後数日から2週間以内の発熱・頭痛・痙攣・運動障害・意識障害など)、痙攣、血小板減少性紫斑病(接種後数日から3週頃に紫斑・鼻出血・口腔粘膜出血など)、脳炎・脳症がみられることがあります。

予防接種を受けられない方

  • 明らかに発熱のある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 過去に日本脳炎ワクチンに含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • その他医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方

予防接種に際し、医師とよく相談が必要な方

  • 心臓病・腎臓病・肝臓病・血液疾患などの基礎疾患がある方
  • 発育が遅く医師・保健師の指導を受けている方
  • 風邪等の体調不良の方
  • 予防接種を受けたときに、2日以内に発熱がみられた方及び発疹・蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が出現した方
  • 薬の投与又は食事で皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある方
  • 今までに痙攣を起こしたことがある方
  • 過去に本人や近親者で、検査によって免疫状態の異常を指摘されたことのある方
  • 日本脳炎ワクチンに含まれる成分でアレルギーを起こすおそれのある方。
  • 妊娠中又は妊娠の可能性のある方