感染症ごとのワクチン

狂犬病

狂犬病について

感染経路

狂犬病ウイルスを持っている哺乳動物に噛まれたり、引っ掻かれることで人間に感染します。ウイルスは感染動物の唾液に含まれていますが、動物は前足を舐めるので、ウイルスが付着したツメで引っかかれることも感染の原因となります。 犬以外の動物でもアライグマやスカンク、猫、コウモリなどすべての動物から感染する可能性があります。動物にむやみに手を出さないようにしましょう。

症状

潜伏期間は一般的に1ヶ月~3ヶ月程度です。発症すると風邪に似た症状や様々な知覚異常・筋肉痛などの前駆症状が出現します。前駆期に続いて興奮・躁動などを主症状として、呼吸困難や嚥下困難、液体を飲もうとすると筋肉が痙攣するために水を恐れるようになります。(恐水症)また、風を恐れるようになる恐風症状も特徴的です。やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。発症した場合、有効な治療や救命方法はなく、死亡率はほぼ100%の非常に恐ろしい病気です。

狂犬病のリスクのある地域

https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name47.html

アフリカ、アジア、中南米のほとんどの地域で流行しています。台湾は狂犬病のない地域とされていましたが、2013年7月台湾で狂犬病の野生動物が確認されています。

渡航の際の注意点

狂犬病は一部の国・地域を除いてほぼ世界中に存在しており、年間約5万~6万人の死亡者が出ています。 有効な治療や救命方法がないため、発症を予防することが非常に重要です。動物に手を出さないようにするのはもちろんのこと、万が一の時に備えてワクチン接種を推奨します。

もし動物に咬まれた場合の対応

傷口の十分な洗浄と消毒

傷口を石鹸と流水でよく洗い、エタノールやポピヨンヨードなどの消毒液で消毒します。
ひっかき傷であっても同様です。 粘膜から感染する可能性があるため、傷口を口で吸いだすことは控えてください。

早急に医療機関を受診し曝露後接種

できるだけ早く医療機関を受診し、ワクチンを接種する必要があります。接種は指定されたスケジュールで複数回受ける必要があります。

日本での曝露後接種0日(噛まれた当日)、3日、7日、14日、28日、90日の6回
※当院では曝露後接種は対応しておりません。

当院で接種可能なワクチン

狂犬病ワクチン(ラビピュール)

料金16,500円 / 回
税込表記
適応年齢6ヶ月以上
接種回数3回(初回から7日目に2回目、初回から21日か28日目に3回目接種する)
※ 曝露前の接種です。
接種方法筋肉注射
持続期間2年程度

※当院では狂犬病の曝露後接種は対応しておりません。

副反応

接種部位の発赤・腫脹・疼痛が出現する可能性があります。また、全身症状として稀に発熱することがあります。ゼラチンを含んだ製剤や食品に対して過敏症などがある方は、ショック・アナフィラキシー様症状(蕁麻疹・呼吸困難・口唇浮腫・喉頭浮腫等)があらわれる可能性があるため、接種前に申告しましょう。

予防接種を受けられない方

  • 明らかに発熱のある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 過去に狂犬病ワクチンに含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • その他医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方

予防接種に際し、医師とよく相談が必要な方

  • 心臓病・腎臓病・肝臓病・血液疾患などの基礎疾患がある方
  • 発育が遅く医師・保健師の指導を受けている方
  • 風邪等の体調不良の方
  • 予防接種を受けたときに、2日以内に発熱がみられた方及び発疹・蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が出現した方
  • 薬の投与又は食事(鶏肉・鶏卵・ゼラチン等)で皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある方
  • 今までに痙攣を起こしたことがある方
  • 過去に本人や近親者で、検査によって免疫状態の異常を指摘されたことのある方
  • 妊娠中又は妊娠の可能性のある方