感染症ごとのワクチン

破傷風

破傷風について

感染経路

世界中の土壌中に広く生息する破傷風菌が手足などの傷口から体内に侵入し、組織中で発芽、増殖し強力な神経毒(テタノスバスミン)を作り出すことにより発症します。特に動物の糞便で汚染された土壌が危険です。

症状

潜伏期間は3日~3週間程度です。その後、傷の周辺のこわばりや全身倦怠感が出現します。その後、開口障害及びそれに伴う食物摂取困難、首筋の張り、構語障害による会話困難があらわれ、それが高度になると痙笑という顔面筋の拘縮に伴う破傷風独特の笑ったような顔貌を呈します。さらに症状が進行すると頚部の筋肉や背筋の拘縮を生じるため、全身が弓なりの姿勢となります。症状が呼吸筋に及ぶと呼吸が不可能となり死に至ることもあります。致死率は10-20%と高値です。

渡航の際の注意点

乳幼児期の定期接種で破傷風を含む3種混合ワクチンDPTもしくは4種混合ワクチンDPT-IPVを接種していますが、接種後10年を過ぎると免疫が低下しているか消失している可能性が高いため、渡航前のワクチン接種が推奨されます。また、破傷風菌は世界中の土壌に存在するため、短期・長期問わずすべての渡航者にワクチン接種が推奨されています。なお、DPTが定期接種化された1968年以前生まれの方やワクチン接種の副反応が問題とあり、接種していない1975年~1980年頃生まれの方は特にハイリスクなため、国内外を問わずワクチン接種が望ましいとされています。正しい方法で接種をおこなうと免疫は10年程度持続すると言われています。

当院で接種可能なワクチン

※当院では動物咬傷、外傷に対する破傷風ワクチンやTdapワクチンの接種は対応しておりません。

破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)

料金3,300円 / 回
税込表記
適応年齢指定なし
接種回数※1967年以前に出生または接種歴のない人(DPT-IPV・DPT・DT・Tdap含む):3回
(初回から3~8週間の間隔で2回目、初回から1年から1年半程度の間隔を空けて3回目接種する)
※1968年以降出生の人:10年ごとに1回
接種方法皮下or筋肉注射
持続期間10年程度

3種Tdapワクチン(Boostrix)

料金11,000円 / 回
税込表記
適応年齢10歳以上
接種回数定期接種後の追加接種として1回以上
接種方法筋肉注射
持続期間10年程度

副反応

破傷風ワクチン

全身症状として、発熱・悪寒・頭痛・倦怠感・下痢・めまい・関節痛などがあります。また局所症状として発赤・腫脹・疼痛・硬結などがみられることがありますが、通常、数日中に消失します。まれに、ショックやアナフィラキシー様症状(全身発赤・呼吸困難・血管浮腫など)がみられることがあります。

3種T-dapワクチン

注射部位の違和感、発赤、疼痛を生じることがあります。まれに発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛を認めます。ごくまれにアナフィラキシーショックを起こします。

予防接種を受けられない方

  • 明らかに発熱のある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 過去にこのワクチンの成分を含む予防接種を受けてアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • その他医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方

予防接種に際し、医師とよく相談が必要な方

  • 心臓病・腎臓病・肝臓病・血液疾患などの基礎疾患がある方
  • 発育が遅く医師・保健師の指導を受けている方
  • 風邪等の体調不良の方
  • 予防接種を受けたときに、2日以内に発熱がみられた方及び発疹・蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が出現した方
  • 薬の投与又は食事で皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある方
  • 今までに痙攣を起こしたことがある方
  • 過去に本人や近親者で、検査によって免疫状態の異常を指摘されたことのある方
  • 妊娠中又は妊娠の可能性のある方