腸チフスについて
感染経路
腸チフス菌に汚染された飲食物による経口感染がほとんどです。感染したヒトの便や尿に汚染された水、氷、食物を摂取することによって感染します。ごく少量の菌によって感染することもあります。また、男性同性愛者による性行為でも感染します。
症状
潜伏期間は1~3週間程度で、その後高熱、頭痛、全身倦怠感、高熱時に数時間出現する胸や背中、腹部の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が出現します。高熱のわりに脈が遅いことが特徴的です。重大な症状として、腸から出血したり(腸管出血)、腸に穴が開いたり(腸管穿孔)し生命の危険を伴うこともあります。
腸チフスのリスクのある地域
南アジア、東南アジア、アフリカ、カリブ海、中央および南アメリカなどの一般に衛生水準の高くない地域で多くみられる感染症です。特に南アジアは、感染の危険が高い地域です。
渡航の際の注意点
腸チフスの感染がもっとも深刻なのはアジア地域ですが、先進国以外のほとんどの国や地域で中等度の感染リスクがあります。2歳以上でインドをはじめとする南アジアに数日でも滞在する場合にはワクチン接種を強く推奨します。
予防方法
- 水道水、氷は飲まず、飲水はミネラルウォーターを摂取する
- 生野菜・カットフルーツ・生魚は食べない(加熱したものを摂取する)
- 屋台など衛生状態が悪い場所での飲食は避ける
- 腸チフスワクチンを接種する
当院で接種可能なワクチン
腸チフスワクチン(Typhim Vi)
料金 | 11,000円 / 回 |
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適応年齢 | 2歳以上 |
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接種回数 | 1回 |
接種方法 | 筋肉注射 |
持続期間 | 約3年間 |
追加接種 | リスクがあれば3年ごとの接種を推奨 |
副反応
頭痛、倦怠感、吐き気、発熱、戦慄、筋肉痛、接種部位の痛み・腫脹などです。
予防接種を受けられない方
- 明らかに発熱のある方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- 過去に腸チフスワクチンに含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
- その他医師が予防接種を受けることが不適当と判断した方
予防接種に際し、医師とよく相談が必要な方
- 心臓病・腎臓病・肝臓病・血液疾患などの基礎疾患がある方
- 発育が遅く医師・保健師の指導を受けている方
- 風邪等の体調不良の方
- 予防接種を受けたときに、2日以内に発熱がみられた方及び発疹・蕁麻疹などのアレルギーを疑う症状が出現した方
- 薬の投与又は食事で皮膚に発疹が出たり、体に異常をきたしたことのある方
- 今までに痙攣を起こしたことがある方
- 過去に本人や近親者で、検査によって免疫状態の異常を指摘されたことのある方
- 妊娠中又は妊娠の可能性のある方