高血圧外来

高血圧

高血圧

この記事は『日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019』を元に書かれています。

毎年健康診断で指摘されていながらも、忙しさにかまけて見ないふり、となりがちな高血圧。
生活習慣、たばこ、体質などが影響し、そのリスクが増えるほど、重大な病気を発症する可能性が上がってしまいます。

高血圧とは

分かりやすく表現すると「血管の老化」です。
高血圧は、多くの場合、動脈が硬くなってしまうこと(動脈硬化)が原因で血管が柔軟に広がらなくなることで起こってきます。
ヒトのカラダは、血液が循環しています。心臓が収縮して、ポンプの役割をして血液を全身に送ります。
生きていく上で大切な臓器(脳・心臓・肝臓・腎臓など)に血液がうまく行き渡るように、血管(動脈)が収縮して血圧を一定数に保っています。
血管が縮まる(収縮する)と血圧は上がり、血管が広がる(拡張する)と血圧は下がります。
日常生活で意識をしながら血圧を調整している人はいません。
ではどうやって血圧はコントロールされているのか?
自律神経が動脈の収縮・拡張を調整し、血圧を管理してくれています。

問題となる血圧

健康な方は、120/75 mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)くらいです。さらに低い方もいらっしゃいますが、個人差があります。
「収縮期血圧が 135 mmHg以上」または「拡張期血圧が 85 mmHg以上」の場合に高血圧といわれます。
どちらか一方が上回っていても高血圧です。
大切なポイントとして、これは『家庭血圧(自宅などで安静時に測った血圧)』です。
たまたま職場やジムで測った数値、ではないことに注意しましょう。
日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019,20,2019 より

収縮期血圧と拡張期血圧

心臓が収縮して血液が送り出されているときの高い血圧を「収縮期血圧」(上の血圧)、心臓に血液が戻ってきているときの低い血圧を「拡張期血圧」(下の血圧)と呼びます。

動脈硬化とは

よく耳にするワードですが、動脈という血管が硬くなってしまうことです。
突然硬くなるわけではなく、乱れた食生活(塩分過多)や睡眠不足、喫煙などの生活習慣が年単位で続くことで徐々に進んでいきます。
血管が硬くなり、血圧が高くなっても通常自覚症状は出ませんので、たまたま健康診断などで血圧を測った時に、ギョッとするほど高い、といったことが起こり得ます。
無症状であるため甘く考えがちですが、放置すると心臓や血管、さらに他の臓器にも障害をきたし、心臓の肥大(左室肥大)・たんぱく尿・脳卒中・心不全・冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)・腎不全・大動脈瘤・動脈閉塞症などが起こりやすくなります。

血圧の目標

家庭血圧 125/75 mmHg が目標です。
ただし、75際以上の高齢者・脳血管障害がある方・慢性腎臓病(蛋白尿なし)に該当する場合は、家庭血圧 135/85 mmHg以下が目標となります。

薬による血圧の管理

Ueki K et al.: Lancet Diabetes Endocrinol 5(12): 951-964, 2017 などの論文を初め、様々な試験で示されているように、しっかりと血圧を下げることは、心血管疾患発症の予防となります。
高血圧患者がより健康で、高いQOL(生活の質)を維持するためには、個々に応じた降圧目標を達成することが重要です。
近年は合剤を含む様々な血圧の薬(降圧薬)が承認・発売されており、それらを適切に使い分けて、降圧目標の達成を目指したより厳格な血圧管理を行うことが重要と考えられます。
日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019,53,2019参照

血圧の薬の種類

専門的な内容ですので、詳しくお知りになりたい方以外は読み飛ばしてください。
ARB / ACE阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬、β遮断薬 といった種類があり、この中から選択することになります。どのタイプの降圧薬を第一選択にするかは、その患者様の基礎疾患の背景によって変わってきます。
Ca拮抗薬のみでコントロールが良好な方もいれば、ARB・Ca拮抗薬・利尿剤を組み合わせてもうまく下がらない方もいらっしゃいます。
適量は個々で異なるため、血圧を下げるゴールを明確にして、その方にあった薬を選んでいくことになります。

当院の生活習慣病の患者様の診療について

高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの疾患は初期には自覚症状がなく、多くの場合、健康診断で判明します。異常を指摘された場合は放置せず、少しでも早いうちに治療をスタートすることが大切です。
蒲田駅東口クリニックの生活習慣病治療は下記のように行っております。お気軽にご相談ください。

  • 健康診断の再検査や二次検査をご希望の方は必ず健診結果をご持参ください。
  • 初回は原則、血液検査などの検査を実施します。その後は3~4ヶ月おきに定期的に採血を実施しフォローしております。
  • 新規の薬剤導入の場合は原則30日以内処方としております。なお、継続処方の場合は、原則2ヶ月分を処方いたします。

高血圧 Q&A

高血圧って何が悪いの?

高血圧は、一言でいうと、全身の血管(動脈)をむしばんでしまう状態です。
運動時や緊張した時などに血圧が上がることは正常ですが、常に血圧が高い方では、血管に負担がかかり続けることで動脈硬化がおこります。

動脈硬化を放っておくとどうなるの?

血管(動脈)が「裂ける」「詰まる」「破れる」ことに繋がります。
それが体のどの部位で起こるかによって病名が変わってきます。

大動脈解離 : 心臓から出てすぐの大動脈が裂ける
心筋梗塞 : 心臓を流れる血管(冠動脈)が詰まる
脳梗塞 : 脳の血管が詰まる
脳出血 : 脳の血管が破れる
腎臓病 : 腎臓の血管が悪くなり腎臓が悪くなる

数年前から血圧が高いと言われています。
どのくらい放置したらよくないのでしょう?

多くの場合、数年以上続くことで問題になってきます。
一度動脈硬化が進むと戻ることはなく、予防するしかありません。
お早めにご相談ください。

病院や職場で血圧を測るといつも高めに出るのですが、大丈夫ですか?

大切なのはご自宅で血圧を測ることです。
家庭血圧を数週間〜1か月程度測ってみて、医師に見せるようにしましょう。
できれば上腕(肘の上)で測るタイプの血圧計がオススメです。

いつ血圧を測ればいいの?

「朝起きてから1時間以内」と「寝る前」に測ると理想的です。
朝のみ高い方でも、同じようにリスクがあるためです。
難しい時は、生活リズムに合わせて、毎日測りやすい時間帯に計測しましょう。

いつも最初に測る血圧がすごく高いので不安です。

毎回椅子に座って、1-2分落ち着いてから測るようにするとデータが安定します。
また、「2回目を測って、その平均をとる」ようにしましょう。

当院ではLINEによる診療予約を導入しております。
LINEから予約のキャンセル・変更も可能です。