小児皮膚科

湿疹(皮膚炎)

湿疹(皮膚炎)

皮膚の表面に起きる炎症の総称で、皮膚炎とも呼ばれます。
湿疹は、かゆみのほか、赤身、細かいブツブツや水疱、膿の溜まった水疱(=膿疱)などを伴うことがあります。
湿疹にはいくつかの種類があるため、原因にあったケアを行う必要があります。

湿疹(皮膚炎) の種類

「湿疹」には様々な種類があります。
代表的な湿疹が「かぶれ」です。肌に原因物質が触れることで発症します。
赤みがでる以外に、ポツポツや水ぶくれができ、患部と正常な皮膚の境目がくっきりしていることも特徴です。
ほかにもよく見られる湿疹が「蕁麻疹」です。
蕁麻疹はかぶれと違って病気や食べ物など身体の内側で起こったトラブル(アレルギー)が症状となって皮膚に現れます。
かゆみを伴い、蚊に刺されたような、楕円形~円形の盛り上がりが突如現れて痕を残さずキレイに消えるのが特徴になります。
原因がわからないことも多くありますが、治療を行うことができます。
湿疹がどれくらいの期間をかけて出るかによって、「急性湿疹」と「慢性湿疹」の2つに分けられます。
湿疹が出始めてから数時間または数日以内のときは「急性湿疹」と呼ばれます。
多くの場合、早めに治療にすることで改善しますが、治療せずに湿疹が続く状態を「慢性湿疹」と呼びます。
湿疹を放置して時間が経過すると、ただれやかさぶたが出現し、それが剥がれ落ちて治癒していきます。
それが慢性化していくると皮膚が乾燥してザラザラした状態になり、色素沈着が起こる場合もあります。

接触皮膚炎

皮膚が特定の物質に触れることで発症します。触れた部分にのみ発症するため、境界がはっきりしているのが特徴です。

脂漏性湿疹

皮脂(油分)の分泌異常やホルモンバランスの乱れによって起こります。

皮脂欠乏性湿疹

皮膚表面の皮脂が足りなくなってでる湿疹です。お子さま~ご高齢の方まで、すべての世代に発症します。

手湿疹

家事によって生じた場合に「主婦湿疹」と呼ばれます。
せっけんや洗剤などによって起こり、主に利き手側にできます。

おむつ皮膚炎

乳児やご高齢者などおむつを着けている方が、便や尿の分解物による刺激・おむつの当たる刺激などで起こります。
赤みが強い場合、なかなか治らない場合は、カビに感染する皮膚カンジダ症になっている場合があります

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の症状には、皮膚が乾燥してカサカサした状態から、皮膚が硬く分厚くゴワゴワになったり、腫れてジクジク汁が出るといった症状まで様々な段階があります。以下は、皮膚所見の重症度別の表です。専門的な内容なので、飛ばしてお読みいただいても問題ありません。

重症高度の腫脹/浮腫/浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などを主体とする。
中等症中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体とする。
軽症乾燥および軽度の紅斑、鱗屑などを主体とする。
軽微炎症症状に乏しく乾燥症状主体
日本皮膚科学会ホームページより引用

 アトピー性皮膚炎の治療は、外用薬(塗り薬)による治療がメインです。
皮疹が出ている「広さ」よりも、「皮疹の重症度」を元に、外用薬の強弱を調整していきます。
例えば、範囲が狭くても炎症が強い(かゆみが強くかき壊してしまっていたり、ジクジクして腫れていたり)状態があれば、重症と判断して強力な外用薬が選ばれます。
一方、皮疹が全身にみられても、カサカサ乾燥している程度であれば、保湿剤をメインとし、強い外用薬は必要ありません。
遺伝性があり、アレルギー・気管支喘息を合併している場合もあります。
乾燥が強いと肌のバリア機能が低下し炎症を起こしやすくなるため悪化しやすくなります。
保湿が重要です。
また、患者の8割近くは適切なケアをすることで20歳前に治っていくことがあるのも特徴です。

湿疹が起こる原因

まず、湿疹には、刺激の強い物質など「外的要因」と、アレルギー体質や内臓疾患・体調変化などの「内的要因」の2つの要因があります。
この要因が重なり合って発症します。

外的要因の代表例

  • 薬剤、化学物質
  • アレルゲン
  • 虫刺され
  • 金属との接触
  • 日光や紫外線
  • ゴムによる締め付けや圧迫
  • カビ、細菌
  • 気候変化 等

内的要因の代表例

  • アレルギー体質
  • アトピー素因
  • 内臓疾患
  • 肌のバリア機能低下
  • 皮脂や汗の量等

湿疹の症状の経過について

湿疹の症状の強さや経過は人それぞれです。
湿疹の多くは、治るまでに以下の経過を辿っていきます。

① 紅斑炎症が起きて毛細血管が拡張するため皮膚に赤みがでます
② 丘疹ブツブツした膨らみがでます
③ 小水疱滲出液が出て小さな水ぶくれとなります
④ 膿疱炎症が進行して膿がたまります
⑤ びらんジクジクしてただれた状態になります
⑥ 痂皮かさぶたになります
⑦ 落屑肌の入れ替わりにより皮片が剥がれ落ちます
こすったりすると色素沈着が起こり、皮膚が分厚くなることもあります

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