糖尿病

1型糖尿病

1型糖尿病

1型糖尿病とはどのような病気?

1型糖尿病はインスリンが分泌できなくなる病気

1型糖尿病は、何らかの原因により膵臓のインスリンを分泌するβ細胞(べーたさいぼう)が壊れてしまう病気です。血糖値を調整することができなくなり、高血糖症状や合併症などさまざまな障害が起きます。1型糖尿病は若年者を中心に幅広い世代で発症します。

2型糖尿病との違い

2型糖尿病は生活習慣や遺伝などの影響によりインスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりする病気です。その他の違いは以下の通りです。

1型糖尿病2型糖尿病
発症年齢若年者が中心中高年に多い
症状急激に症状が現れる初期症状はほとんどない。いつの間にか進行している
体型痩せ型に多い肥満に多い
原因何らかの原因によりインスリンを分泌するβ細胞が壊れる生活習慣や遺伝により、インスリンの分泌力と効き目が悪くなる
治療方法インスリン療法が中心食事療法と運動療法。必要であればインスリン療法

1型糖尿病の原因は遺伝や自己免疫

1型糖尿病の原因は解明されていませんが、自己免疫や遺伝が関係すると言われています。

自己免疫とは、本来病原体などを攻撃するための免疫が、自分の細胞や臓器を攻撃してしまうことです。

つまり、1型糖尿病は自己免疫がβ細胞を攻撃してしまうことで発症します。この自己免疫は遺伝要因やウイルス感染をきっかけに起こると言われています。

1型糖尿病の症状と合併症

インスリンの欠乏状態に伴った症状が現れる

1型糖尿病はインスリンにより血糖値を下げられなくなるため、以下のような高血糖症状が見られます。

  • 尿量が多くなる
  • 喉が渇く
  • 水分をたくさん摂る
  • 体重が減る
  • 疲れやすい

さらに進行すると意識を失う症状が出現します。

急性合併症と慢性合併症

1型糖尿病の急性合併症は以下の通りです。

急性合併症症状
糖尿病ケトアシドーシスインスリン不足により血糖値を下げられないことで、高血糖症状が急激に現れる。1型糖尿病の場合は、インスリン注射を適切に打たなかったときなどに起こる
高浸透圧(こうしんとうあつ)高血糖症候群異常な高血糖により極度の脱水や意識の消失が起きる。高齢者に多く、糖尿病以外の病気をきっかけに起きることがある

急性合併症は生命の危険が伴うことがあるため、医療機関で迅速に治療を受ける必要があります。慢性合併症は以下の通りです。

慢性合併症症状
神経障害血圧などを調整する自律神経や、痛みを感じる感覚神経に問題が起きる
網膜症目の細い血管がもろくなってしまい、視力低下や失明が起きる
腎症腎臓の血流が悪くなり、腎臓の血液をきれいにする機能が低下する
大血管症脳や心臓への血流が滞ってしまい、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる
糖尿病足病変(そくびょうへん)血流が悪くなることで傷の治りが遅くなり、足の傷や水虫をきっかけに足が腐ってしまう

1型糖尿病の診断に必要な血液検査

1型糖尿病の診断は、血液検査で血糖値やインスリンの分泌量などを調べて実施します。具体的な血液検査の内容は以下の通りです。

検査項目詳細
抗GAD抗体・IA-2抗体1型糖尿病の診断に用いられる検査。陽性であれば1型糖尿病である可能性がある
血糖値血液中の糖の濃度を示す値
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)血液中のヘモグロビンと糖がどれくらい結合しているか示す値。その時だけの血糖値とは違い、1〜2ヵ月の平均血糖値を知ることができる

1型糖尿病の治療方法と日常生活の注意点

主な治療はインスリン療法

1型糖尿病の主な治療方法は、インスリンを外から補充する強化インスリン療法です。例えば、以下のような治療方法があります。

強化インスリン療法詳細
頻回注射法2種類のインスリン製剤を使い分ける治療方法。長時間効果のあるインスリンを1日1〜2回、すぐに効果があるインスリンを食事前に注射する
持続皮下インスリン注入法すぐに効果があるインスリン製剤を持続的に注入する方法。インスリンポンプという医療機器を腹部にセットして実施する

インスリン療法が始まったら注意すべきは、手足の震えや頭痛、冷や汗などが起きる低血糖症状です。食事の量や注射をした時間、運動量などに注意をして低血糖を防ぐ必要があります。低血糖を防ぐ方法は、医師や看護師からしっかりと指導を受けましょう。

日常生活の注意点

1型糖尿病を持っていても、適切なインスリン療法を実施していれば、普通に就労して日常生活を送ることができます。ただし、職場では、インスリンを打つ時間や定期的に血糖測定をする時間を確保して、血糖値のコントロールができる環境にする必要があります。

お子さんが1型糖尿病の場合は、保育園や学校で「いつ、だれが、どのように」注射をするのか血糖測定をするのかを相談しておきましょう。また低血糖時の対応方法なども共有して、不足の事態に対応できるようにしてください。

1型糖尿病の治療は抱え込まずに周囲のサポートを得ることが大切

1型糖尿病の方、またはお子様が1型糖尿病の保護者の方は、抱え込まないことが大切です。職場では一部の上司や同僚に伝えたり、学校では保健室の先生と連携をとったりしてサポートを受けることを推奨します。

学校や職場など患者さんを取り巻く環境はさまざまです。医師や看護師に相談して上手な対応方法を考えていきましょう。

なお、当院では1型糖尿病の治療継続は困難であるため、対象となる患者様には高度な専門治療が可能な医療機関をご紹介いたします。

大森ステーション内科小児科クリニックの生活習慣病の患者様の診療について

高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症などの疾患は初期には自覚症状がなく、多くの場合、健康診断で判明します。異常を指摘された場合は放置せず、少しでも早いうちに治療をスタートすることが大切です。
大森ステーション内科小児科クリニックの生活習慣病治療は下記のように行っております。お気軽にご相談ください。

  • 健康診断の再検査や二次検査をご希望の方は必ず健診結果をご持参ください。
  • 初回は原則、血液検査などの検査を実施します。その後は3~4ヶ月おきに定期的に採血を実施しフォローしております。
  • 新規の薬剤導入の場合は原則30日以内処方としております。なお、継続処方の場合は、原則2ヶ月分を処方いたします。