睡眠時無呼吸症候群と高血圧
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が停止してしまい、日常生活で異常な眠気のある疾患のことです。睡眠時無呼吸症候群は、以下のような3つのタイプがあります。
- 閉塞型:のどが閉じてしまうことで起こる
- 中枢型:脳や神経、心臓の病気が原因で起こる
- 混合型:閉塞型と中枢型が混合して起こる
閉塞型が最も多く、肥満の人に多いといわれています。中枢型は原因の疾患を治療することで治る場合もありますが、一般的に完治は難しいといわれています。
睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係
睡眠時無呼吸症候群では一晩中、呼吸の停止と再開を繰り返します。寝ている間に停止した呼吸が再開すると、交感神経が高ぶってしまい、血圧が上昇します。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧には、以下のような特徴があります。
1.夜間や早朝に高血圧になる
血圧は通常朝に低く、活動する日中に上昇しますが、睡眠中には下がるものです。しかし、睡眠時無呼吸症候群の場合には夜や睡眠中も下がらず、逆に上昇する場合もあります。また、そのまま朝を迎え、早朝血圧も高いということもあります。
2.3剤以上の作用の仕方が違う降圧剤を使っても改善しない
高血圧の原因が睡眠時無呼吸症候群の場合には、降圧薬を使っても血圧が下がらないという特徴があります。これは治療抵抗性高血圧と呼ばれ、3種類以上作用の仕方が違う降圧薬を使っても血圧が正常化しない場合の約7割の原因が睡眠時無呼吸症候群だといわれています。
3.通常型より心血管疾患のリスクが高い
夜間に血圧が下がらない、逆に昼間より上昇する場合は、夜間に血圧が下がる通常型と比べ、心血管疾患のリスクが高いとも言われているので、注意が必要です。
下がらない血圧はCPAPで治療する?降圧効果は?
1.CPAP治療
CPAPとは、持続陽圧呼吸療法のことで、高圧の空気を鼻から気道に送り、睡眠中の無呼吸を防止する治療方法です。CPAPをつけると軽度ではあるものの、拡張期血圧も収縮期血圧も下がることが知られています。
CPAPの治療効果が期待できるのは、以下のような場合です。
- 血圧コントロールがもともと不良
- 重症な閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 眠気が強い
- CPAP治療をきちんとする
CPAP療法が保険適用となったのは、1998(平成10)年です。
2.CPAP治療+減量
BMI30以上の肥満の患者さんで中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群がある場合に、CPAP治療、減量、CPAP治療+減量の3群の治療効果を比較したところ、CPAP治療単独群や減量単独群と比べて併用群で有意な収縮期血圧の低下が認められることが知られています。
3.CPAP治療+降圧剤
CPACと「バルサルタン」「ロサルタン」というお薬の血圧降下作用を比較した試験があります。お薬の血圧降下作用に比べて、CPACの血圧降下作用は1/4〜1/2と小さく、治療効果は補助的です。しかし、寝ている間に呼吸が停止しないので、再開時に交感神経が高ぶって血圧が上昇することがありませんし、CPAPを併用することで上乗せの降圧効果が認められています。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人:チェックリスト
SAS(睡眠時無呼吸症候群)度セルフ診断
以下の9つの質問のうち、あてはまるものはいくつあるか数えてください。
- 大きないびきをかく、もしくは家族に「いびきが大きい」と言われる
- いびきは朝まで続く
- 寝苦しいことが多い
- 起床時にしばしば頭痛する
- すっきり起きられない、もしくは寝起きが悪い
- よく寝ているのに疲れが取れない
- 睡眠時間は十分だが、日中に眠気がある
- 運転中や会議中など重要な時でも眠くなることがある
- 生活習慣病にかかっている
あてはまるものの個数で以下のように判定します。
- 1〜2個:一時的なら問題なしです。慢性的であれば検査をしてください。
- 3〜4個:睡眠時無呼吸症候群予備軍かもしれません。ぜひ一度検査をしてください。
- 5個以上:すでに睡眠時無呼吸症候群かもしれません。早めの検査をしてください。
まとめ
大森ステーション内科小児科クリニックのいびき外来では、睡眠時無呼吸の精密検査や必要に応じてCPAP療法をお受けいただけます。
中等症以上の睡眠時無呼吸が隠れている場合、心臓や脳の血管リスク・死亡リスクにつながります。CPAP療法はそのリスクを軽減できる保険適用の治療です。
診断には検査が必要であることから、多くの隠れ睡眠時無呼吸の方が全国にいらっしゃると言われています。
大森ステーション内科小児科は土日祝日も診療しておりますので、お仕事で平日の受診が難しい方もお気軽にご相談ください。
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