予防接種

肺炎球菌感染症ワクチン

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌感染症は、肺炎球菌という細菌によって引き起こされます。肺炎球菌は、主に気道の分泌物に含まれる細菌で、日本人の約3~5%高齢者の鼻、喉の奥に常在していると言われています。この菌は唾液などを通じて飛沫感染し、肺炎や気管支炎、敗血症などの重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。なかでも、日本人の死因第5位である肺炎の成人症例において、その原因の1/4~1/3が肺炎球菌によるものと考えられています。

肺炎球菌感染症の症状

肺炎球菌感染症を発症すると、突然の発熱や倦怠感の症状が現れます。また、肺炎を起こした場合には、咳、胸の痛み、血の混じった淡が出るなどの症状が現れます。さらに、頭痛や痙攣、首の動かしにくさなどの症状が引き起こされる場合もあります。

肺炎球菌感染症の予防方法

肺炎球菌ワクチンを接種することが肺炎球菌感染症の有効な予防方法として挙げられます。

肺炎球菌ワクチンの予防接種は、年齢に応じたワクチンを正しいスケジュールで行う必要があります。定期接種の対象者は毎年度異なっているため、接種の機会を逃さないよう心がけましょう。

肺炎球菌ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンは、平成26年(2014年)10月1日から高齢者を対象として定期接種が開始されました。定期接種では「23価肺炎球菌ワクチン(一般名:23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン、商品名:ニューモバックス NP)」が使用されています。もし、過去に肺炎や肺炎球菌感染症に罹っていたとしても、肺炎の原因は様々であること、肺炎球菌には多くの血清型があることから、ワクチンの接種を推奨しています。

肺炎球菌ワクチンの効果

23価肺炎球菌ワクチンは、90種類以上ある肺炎球菌の血清型のうち、23種類の血清型を予防の対象としたワクチンとなります。この23種類の血清型は、成人侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の原因の約6割~7割を占めるとされています。そのため、ワクチンを接種することは、肺炎球菌によって引き起こされる肺炎などの重篤な合併症の予防、あるいは重症化を防ぐ効果があると考えられています。

肺炎球菌ワクチンの副反応

肺炎球菌ワクチンを接種したことによる副反応として下記のものが報告されています

5%以上接種した部位の腫れ、紅斑、疼痛、熱感
1~5%・接種した部位の硬結
・全身の倦怠感、違和感
・悪寒や発熱
・筋肉痛
・頭痛
・ALT(GPT)の上昇
1%未満・接種した部位の皮膚のかゆみ
・皮疹
・全身のほてり
・咽頭炎や鼻炎
・悪心
・腋窩痛(脇の下の痛み)

また、下記の重篤な副反応も稀に報告されています。

  • アナフィラキシー様反応
  • 血小板減少
  • ギランバレー症候群
  • 蜂巣炎様反応

肺炎球菌ワクチンを接種できない人

下記に当てはまる場合は肺炎球菌ワクチンの接種ができません。

  • 接種当日あきらかな発熱(37.5度以上)がある方
  • 重篤な急性疾患に罹っている方
  • 予防接種の接種液に含まれる成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 過去に23価肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方
    (過去に接種したものが13価肺炎球菌ワクチンであった場合には、23価肺炎球菌ワクチンの定期接種が可能です。)

この他にも、医師によって予防接種を受けることが不適切であると判断される場合があります。ご不安なことがあれば必ず医師にご相談ください。

高齢者肺炎球菌ワクチンの費用

項目費用(税込)
高齢者肺炎球菌ワクチン(自費)8,800円
定期接種対象者は補助が出る場合もありますので、自治体からのお知らせをご確認ください。

肺炎球菌ワクチンの接種回数・間隔

高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種では、23価肺炎球菌ワクチンを1回接種します。

今年度の対象者は下記の通りです。

2023(令和5)年度の年齢生年月日
65歳となる方昭和33年4月2日生~昭和34年4月1日生
70歳となる方昭和28年4月2日生~昭和29年4月1日生
75歳となる方昭和23年4月2日生~昭和24年4月1日生
80歳となる方昭和18年4月2日生~昭和19年4月1日生
85歳となる方昭和13年4月2日生~昭和14年4月1日生
90歳となる方昭和8年4月2日生~昭和9年4月1日生
95歳となる方昭和3年4月2日生~昭和4年4月1日生
100歳となる方大正12年4月2日生~大正13年4月1日生

接種対象年齢において、長期に渡り療養を必要とする病気に罹っていたために、定期接種を受けることができなかったと認められた場合、長期療養特例として定期接種を受けることができます。この場合、接種可能となった日から1年以内に接種を受ける必要があります。また、特例に該当するか否かについては、医学的な判断が必要です。60歳から65歳未満の方でも、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方は定期接種の対象となります。初回接種から5年以上経過している場合に2回目の接種が可能ですが、2回目以降の接種の実際の予防効果についてははっきりとしておらず、2回目以降は任意での接種となります。また、過去5年以内に、23価肺炎球菌ワクチンを接種されたことのある方が、再度接種された場合には、注射部位の疼痛、紅斑、硬結等の副反応が、初回接種よりも頻度が高く、程度が強く発現するとの報告があります。

肺炎球菌ワクチンのお申込み

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