A型肝炎とは
A型肝炎とは、A型肝炎ウイルスの経口感染によって発症する急性肝炎です。
冬から春にかけての発生が多くみられています。
日本においては、生活環境の整備によってA型肝炎患者の発生が激減しており、感染機会も減少しています。そのため、2014年にはA型肝炎に対する免疫が60歳未満の世代でほとんどみられなくなったと報告されています。
しかしながら、現在でもA型肝炎は途上国を含めた世界中で散発的に流行しており、海外のA型肝炎流行地や常在地へ旅行や出張で長期滞在するという場合には、感染の可能性があると考えられています。
A型肝炎の症状
小児と成人で症状の程度が異なります。
小児の場合
- 発熱
- 軽い黄疸
感染しても症状が現れない不顕性感染で終わることが多いです。
成人の場合
- 38度以上の発熱
- 全身の倦怠感
- 下痢
- 黄疸
子どもと異なり、感染したほとんどが発症します。また、完全な治癒には1~2ヵ月の治療が必要です。
A型肝炎は合併症を引き起こすことがあり、まれに、劇症肝炎、急性腎不全を引き起こします。
A型肝炎の予防方法
A型肝炎の感染予防や感染拡大予防に対しては、A型肝炎ワクチンの接種が有効であると考えられています。
日本にお住まいの方であっても、A型肝炎が流行している地域やA型肝炎常在地へ滞在したり、食品を取り扱っていたりする場合には、A型肝炎ワクチンの予防接種が推奨されています。
A型肝炎ワクチンとは
A型肝炎ワクチンとは、A型肝炎ウイルスを培養細胞で増殖させたものを精製、不活化したものです。A型肝炎ワクチンには国産のものと輸入のものがあり、任意接種となります。高齢者や慢性の肝障害(肝硬変やB型肝炎、C型肝炎など)が基礎疾患にある方は、A型肝炎が重症化しやすいため、感染予防のためにA型肝炎ワクチン接種が推奨されています。また、A型肝炎が流行している国へ旅行や出張で滞在する場合にも、予防接種が強く推奨されています。
MSM(men who have sex with men=男性間性交渉者)も、コミュニティでの流行が時折みられておりますので、予防接種が推奨されています。加えて、米国においては小児の定期接種に含まれていることもあり、A型肝炎の報告数が激減しています。
A型肝炎ワクチンの効果
国産のワクチンは、安全かつ効果が高いワクチンです。
ワクチン接種を3回受ければほぼ100%の抗体獲得が期待できると考えられています。3回の接種後5年間は効果が持続します。しかし、その後は抗体価が下がっていくため、A型肝炎感染リスクがあるという場合には10〜20年ごとに1回の追加接種が推奨されています。
輸入ワクチンは、1回の接種でほぼ100%の抗体獲得が1年以上期待できると考えられています。また、追加接種を1回受けることで15〜20年以上の抗体が維持されると言われています。
A型肝炎ワクチンの副反応
A型肝炎ワクチンの接種後、下記の一般的な副反応の症状が現れることがあります。
注射部位
- 疼痛
- 発赤
- かゆみ
- 腫れ
- しこり
- 圧痛
その他のからだの症状
- 発熱
- 熱感
- 頭痛
- 頭重感
- 倦怠感
- 全身の筋肉痛
- 下痢
現在まで重篤な副反応の発生は認められていません。また、A型肝炎ワクチンの接種後30分間は急な副反応が現れることがありますので、様子を観察して医師にすぐ伝えられるようにしましょう。もし高熱、けいれんなどのからだの異常や症状が現れた場合には早急に受診するようにしてください。
A型肝炎ワクチンを接種できない人
下記に当てはまる方はA型肝炎ワクチンの接種ができません。
- 明らかな発熱(37.5度を超える)のある方
- 重篤な急性疾患に罹っている方
- 過去にA型肝炎ワクチンの接種を受けた際にアナフィラキシーを起こしたことがある方
この他にも医師が不適当であると判断した場合にはワクチン接種を受けられないことがあります。
また、下記に当てはまる方はワクチン接種前に医師と相談する必要があります。
- A型肝炎ワクチン以外の医薬品の投与によって、アナフィラキシーを起こしたことがある方
- 食事や薬の投与によって発疹が現れたり、体に異常をきたしたことがある方
- 予防接種を受けた際、2日以内に発熱がみられた方、あるいは発疹や蕁麻疹などのアレルギーが疑われる症状がみられた方
- けいれんを起こしたことがある方
- 風邪のひき始めと思われる方
- 心臓病、腎臓病や肝臓病、血液疾患などの基礎疾患があるという方
- 発育が遅いため、医師や保健師の指導を受けているという方
- 過去に本人あるいは近親者が、免疫状態の異常を検査によって指摘されたことがある方
- 妊娠中あるいは妊娠している可能性がある方
A型肝炎ワクチンの費用
項目 | 費用(税込) |
---|---|
A型肝炎ワクチン | 7,700円 |
A型肝炎ワクチンの接種回数・間隔
基礎免疫をつけるために必要な接種回数は2〜3回となります。
ワクチン接種は一定の間隔をあけて行いますが、間隔をあけすぎてしまったとしても1回目の接種からやり直す必要はなく、不足分の接種を行うことで免疫の獲得が可能となります。
国産ワクチンは、1回目の接種から2〜4週間後に2回目の接種を行います。2回目の接種から24週間後に3回目の接種を行います。
また、2回の接種であっても、接種後2週間ほどである程度免疫がつくため、海外渡航の予定がある場合には出発の1〜2か月前までに受診して1回目の接種を行うことが理想的とされています。
輸入ワクチンは、1回目の接種から6〜12か月後に2回目の接種を行います。1回の接種であっても免疫がつき、その効果は1年間持続するため、海外渡航の予定がある場合には出発の2週間前までに接種するようにしましょう。
また、1回目の接種から6か月以降に2回目の接種を行うことで、約15年間効果が持続します。
当院では国産ワクチンを使用しています。
A型肝炎ワクチンのお申込
A型肝炎ワクチン接種については下記フォームよりお申込みください。