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日本脳炎ワクチン

日本脳炎とは

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、ウイルスを保有するブタから蚊を介して人に感染します。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気です。

ウイルスを保有する蚊に刺されたとしても多くの人は症状が現れませんが、発病して重症化してしまうと後遺症を残すことや死に至ることもあるため、注意が必要です。

日本脳炎の症状

感染した人のうち、100〜1000人に1人の割合で発病すると言われています。

6〜16日の潜伏期間ののち、下記の症状が現れて発病します。

  • 突然の高熱
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • めまい

これらの症状に続いて下記の症状がみられます。

  • 意識障害
  • けいれん
  • 異常行動
  • 筋肉の硬直

また、重症例のうち、50%の人は死に至るとされています。

さらに、生存したとしても、30〜50%の人に運動障害や精神障害などの後遺症を残すとされています。

日本脳炎の予防方法

日本脳炎の発症予防として、日本脳炎ワクチンの予防接種を受けることが有効と考えられています。

また、日常生活においては蚊に刺されないように対策しましょう。虫よけスプレーや蚊取り線香などを使用して、衣服は長袖長ズボンにするなど肌の露出をしないようにしましょう。

日本脳炎ワクチンとは

日本脳炎ワクチンは接種することで日本脳炎の罹患リスクを減らすことのできる不活化ワクチンです。

現在の日本においては、定期接種の対象となっています。また、2016年4月からは定期接種として実施されていなかった北海道でも小児への定期接種が開始されました。

ただし、2005年5月30日〜2009年度にかけて、日本脳炎ワクチン積極的勧奨の差し控え実施されたことにより、ワクチン接種を受ける機会を逃している可能性のある方もいらっしゃいます。下記に当てはまる方は不足分を定期接種として受けられることがありますので、母子健康手帳などでワクチン接種の記録を確認しましょう。

1995年4月2日~2007年4月1日の間に生まれた方

20歳未満であれば、不足回数分を定期接種として受けることができます。

2007年4月2日~2009年10月1日の間に生まれた方

生後6か月〜90か月未満、9〜13歳未満の間に、第1期の不足分を定期接種として受けることができます。

日本脳炎ワクチンの効果

日本脳炎ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75〜95%程度減らすことができると言われています。日本脳炎は発病すると重症化するリスクが高いため、ワクチン接種での発病の予防が重要となります。

免疫の持続期間は、予防接種によって獲得した免疫の状況や接種後の周囲での流行の程度によって異なります。

世界的にみると、日本は感染リスクの高い国であり、特に西日本では日本脳炎ウイルスを保有するブタが多く確認されているため、日本脳炎ワクチンの接種が推奨されています。

日本脳炎ワクチンの副反応

一般的なワクチン接種による副反応として、下記のような症状が現れることがあります。

全身症状

  • 発熱
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 発疹
  • 鼻汁
  • 鼻出血
  • 下痢

通常は数日中に消失する局所症状

  • 赤み
  • 腫れ
  • かゆみ
  • 疼痛

非常にまれにみられる副反応

  • ショック
  • アナフィラキシー様症状…蕁麻疹や呼吸困難、血管浮腫など
  • けいれん
  • 脳炎・脳症
  • 血小板減少性紫斑症…接種後数日~3週頃に紫斑、鼻出血や口腔粘膜出血など
  • 急性散在性脳脊髄炎…接種後数日〜2週間以内の発熱や頭痛、けいれん、運動障害や意識障害など。この病気と、以前使用されていた日本脳炎ワクチン(マウスの脳を原材料とするもの)との関連が疑われたため、積極的勧奨の差し控えがありました。その後新たなワクチンが開発され、現在は通常通り日本脳炎ワクチンの予防接種が可能となりました。

接種後24時間は副反応の出現に注意しましょう。特に、予防接種を受けた後30分間は様子を観察し、アレルギー反応などが見られた場合には医師にすぐ連絡するようにしてください。
接種当日は接種部位を清潔に保つようにしましょう。入浴は問題なく行えますが、接種部位をこすらないよう気を付けましょう。激しい運動、大量の飲酒も避けましょう。
高熱やけいれんなどの体の異常の症状がみられた場合には、早急に受診するようにしましょう。

日本脳炎ワクチンを接種できない人

下記に当てはまる方は日本脳炎ワクチンの予防接種を受けることができません。

  • 明らかな発熱(37.5度を超える)のある方
  • 重篤な急性疾患に罹っている方
  • 過去に日本脳炎ワクチンに含まれている成分によってアナフィラキシーを起こしたことのある方

この他にも医師が不適当であると判断した場合にはワクチン接種を受けられないことがあります。

また、下記に当てはまる方はワクチン接種前に医師と相談する必要があります。

  • 他の医薬品投与によってアナフィラキシーを起こしたことがある方
  • 食事や薬の投与によって発疹が現れたり、体に異常をきたしたことがある方
  • 前回の予防接種を受けた際、2日以内に発熱がみられた方、あるいは発疹や蕁麻疹などのアレルギーが疑われる症状がみられた方
  • けいれんを起こしたことがある方
  • 風邪のひき始めと思われる方
  • 心臓病、腎臓病や肝臓病、血液疾患などの基礎疾患があるという方
  • 発育が遅いため、医師や保健師の指導を受けているという方
  • 過去に本人あるいは近親者が、免疫状態の異常を検査によって指摘されたことがある方
  • 日本脳炎ワクチンに含まれる成分によってアレルギーを起こすおそれがある方
  • 水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜ、麻しん(はしか)、風しんなどの病気が、現在、家族や友人、クラスメイトの間で流行していて、まだそれらの病気に罹ったことがない方

日本脳炎ワクチンの費用

項目費用(税込)
日本脳炎ワクチン8,800円

日本脳炎ワクチンの接種回数・間隔

日本脳炎ワクチンの定期接種では、計4回接種することになります。

まず、生後6か月〜90か月未満を第1期として3回接種します。1回目の接種から6〜28日の間隔をあけて2回目の接種を行い、2回目の接種から標準的には1年(最低6か月以上)の間隔をあけて3回目の接種を行います。その後、9歳〜13歳未満を第2期として1回接種します。

また、これまでは3歳からの定期接種が推奨されていましたが、2016年以降は、日本脳炎流行地域に渡航や滞在する小児、ブタの日本脳炎抗体保有率の高い地域や最近日本脳炎患者が発生した地域に居住している小児に対しては、希望すれば生後6か月以上の接種が可能となっています。

上記以外の成人などの場合は任意接種になりますが、感染リスクがある場合には予防接種が推奨されています。

接種歴が3回ある方は日本脳炎流行地へ渡航する際に、1回接種を行います。

接種歴が3回ない方は3回接種を行います。1回目の接種から1〜4週間の間隔をあけて2回目の接種を行い、2回目の接種から1年間の間隔をあけて3回目の接種を行います。

渡航前の日本脳炎ワクチンのお申込み

渡航前のワクチン接種については下記フォームよりお申込みください。