Tdapワクチンとは
Tdap(ティーダップ)ワクチンは、百日咳・ジフテリア・破傷風の予防に用いられる成人用三種混合ワクチンです。思春期や成人に接種しても疼痛などの副反応が現れにくい不活化ワクチンとなります。
Tdapワクチンは日本国内未承認のワクチンです。
日本で承認されている全年齢向けワクチンとしては、小児用の成分比である三種混合(DTP)ワクチンのトリビックがあります。
しかし、小児に用いる三種混合ワクチンは、破傷風トキソイドの成分が成人の接種に望ましい量より少なく、ジフテリアトキソイドの成分は成人に対して疼痛などの副反応が現れやすい傾向があります。
百日咳
現在も先進国を含む世界中で流行している急性気道感染症で、特有のけいれん性の咳発作が特徴的です。
母親からの免疫が十分でないため、乳児期早期から罹患することもあり、1歳以下の乳児、特に生後6か月以下で罹患した場合は重症化、死亡の危険性が高い感染症です。そのため、乳児の世話をすることとなる妊婦にTdapワクチンの予防接種が強く推奨されている国もあります。
ジフテリア
ジフテリア菌に感染することによって引き起こされる病気です。
患者あるいは無症候保菌者の咳やくしゃみなど飛沫を介して感染します。濃厚な身体接触、まれに感染者の唾液などが付着したものを触ることでも、感染することがあります。
1〜10日の潜伏期間ののち、喉の痛み、発熱や倦怠感などの症状が現れ、鼻や喉の粘膜上に膜のようなものができます。この膜を無理にはがすと出血し、重症の場合は膜が喉に詰まって窒息することがあります。
破傷風
破傷風菌に感染することによって引き起こされる病気です。
破傷風菌は世界中の土の中に存在しており、主にけがの傷口から体内に入り込んで感染します。特に動物の糞便などで汚染された土壌は感染の危険性が高いため、注意が必要です。
3日〜3週間の潜伏期間ののち、口が開きにくい、顎が疲れる、首筋が張る、体の痛みなどの症状が現れます。その後、体全体にしびれや痛みが広がっていき、歩行、排便や排尿の障害などがみられるようになります。やがて、全身の筋肉が固くなり、体を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れて、死に至ります。
Tdapワクチンの効果
DPTワクチンまたはDPT-IPVワクチンの接種から4〜12年経過すると、百日咳の免疫効果が低下してしまい、感染する可能性がでてきます。
百日咳の定期予防接種が乳児期のみとなっている日本では、成人期に百日咳が流行することが問題となっています。
Tdapワクチンなどの百日咳を含むワクチンの追加接種を10歳以降に受けることで、百日咳の抗体が再度上昇し、感染の予防につながるといわれています。
百日咳含有ワクチンはすべての思春期・成人の方への追加接種が望ましく、特に乳児に接触する可能性のある方、医療従事者は優先度が高く、その他の方も米国への留学の際に留学先から接種を推奨されることがあります。
欧米においては、乳児期にDPTワクチンにあたるものを4回の定期接種、その後4〜6歳と11〜18歳にTdapワクチンを追加しており、少なくとも6回の定期接種を行っています。
Tdapワクチンの副反応
Tdapワクチンに特異的な副反応の報告はなく、他のワクチン接種時と同様に一般的なワクチン接種による副反応が現れます。
接種部位の症状 | 痛み 腫れ 赤み |
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全身症状 | 発熱 倦怠感 吐き気 |
接種後にからだの異常を感じた場合は、すぐに医師へご相談ください。
Tdapワクチンを接種できない人
下記に当てはまる方はTdapワクチンの接種を受けられません。
- Tdap、DTP、DTP-IPVワクチンのいずれかによってアナフィラキシーなどの強いアレルギー反応を起こしたことのある方
- 医師が不適当であると判断した方
他のワクチンとの同時接種は可能ですが、詳しくはTdapワクチンの取り扱いのある医療機関へご相談ください。
Tdapワクチンの費用
項目 | 費用(税込) |
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Tdapワクチン | 11,000円 |
Tdapワクチンの接種回数・間隔
Tdapワクチンの接種は、基本的にいつでも良いものの、DTワクチン接種から5年以上経過してから受けることで副反応が現れにくくなるといわれています。
学童期または成人期に1回の追加接種を行います。
米国では、10年ごとにTdワクチン(ジフテリア・破傷風ワクチン)の接種が推奨されており、そのうち1回は百日咳含有ワクチンの接種を受けることが強く推奨されています。
Tdapワクチンのお申込
Tdapワクチン接種については下記フォームよりお申込みください。