ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルス感染症とは?
ヒトメタニューモウイルス感染症とは、ヒトメタニューモウイルスに感染して発症します。ウイルス性の感染症のうち、子どもでは5〜10%、大人では2〜4%がこのウイルスが原因と推測されています。
日本の流行時期は春です。一度感染しても免疫が得られにくく、乳幼児期に何度も感染することがあります。乳幼児では、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸の症状)をきたす急性の感染症の原因となる場合が多いです。
この感染症は、乳幼児だけでなく、大人も肺炎の原因にもなるため注意が必要です。特にウイルスに対する抵抗力が低下している高齢者は重症化するリスクがあります。
ヒトメタニューモウイルスの感染経路と潜伏期間
ヒトメタニューモウイルスの感染経路は以下の通りです。
接触感染 | 特定のものに接触して感染すること。ウイルスが付着した家具などの物や人の手指、粘膜に触れることで感染する |
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飛沫感染 | 咳やくしゃみにより飛び散るウイルスを吸い込み感染すること。吸い込んだウイルスが鼻や喉などに付着して増殖することで発症する |
潜伏期間は4〜6日と推定されており、ウイルスを排泄する期間は発症から1〜2週間ほどです。
ヒトメタニューモウイルス感染症の子どもと大人の症状の違い
ヒトメタニューモウイルス感染症の症状は、子どもと大人では経過が異なります。ここでは、子どもと大人の症状の違いについて解説します。
1.子どもの症状
子どもがヒトメタニューモウイルスに感染した際によく見られる症状は、次の通りです。
- 高熱(38℃以上)
- 咳
- 鼻水
- 喉の痛み
- 喘鳴
- 息苦しさ
- 嘔吐
- 下痢
- 頭痛
発熱や咳、鼻水は90%以上の子どもに出現しています。咳や喘鳴のピークは発症後5〜7日目が多く、発熱は5日以上続く場合があります。
喘鳴症状の悪化もしばしば見られており、夜間眠れないほどの喘鳴が現れている場合は注意が必要です。
2.大人の症状
大人では、典型的な風邪症状をともなうことが多いです。肺炎で入院した大人のうち約4%がヒトメタニューモウイルスに感染していたという報告があります。特にウイルスに対する抵抗力が低下している高齢者にとって軽視できないウイルスです。
感染した場合、多くは上気道感染症(喉や鼻の感染症)で済みますが、乳幼児や高齢者は重症な下気道感染症(肺炎などのこと)を発症するリスクがあるため注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルス感染症の検査方法
ヒトメタニューモウイルス感染症の検査方法は、約15分で結果がわかる迅速検査が有用です。迅速検査とは、綿棒を鼻に入れて検体を採取する方法です。
なお、迅速検査の保険が適用するのは、画像診断や胸部の聴診により、肺炎を疑われた6歳未満の子どもに限ります。そのため、正確に診断されていない子どもが、多くいるということが推測できます。
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療方法
ヒトメタニューモウイルス感染症には、特別な治療方法はありません。重症度に応じた対症療法が基本です。対症療法の一例を挙げると次の通りです。
- 発熱に対しては解熱薬
- 咳に対しては去痰薬
「食事や水分がとれない」「重度の呼吸苦が現れた」場合は、入院をして点滴や酸素投与などを実施する必要があります。
ヒトメタニューモウイルス感染症の予防法と出席停止について
ヒトメタニューモウイルスのワクチンなどは開発されていません。そのため、以下のような基本的な感染予防が重要です。
- 手洗いやうがい、アルコールによる手指消毒を徹底する
- 外出時はマスクを着用する
- 家族内のタオルなどの共有は避ける
- 流行時期は人と距離をとる
このウイルスは感染力が強いため、保育園や幼稚園、高齢者福祉施設などでは特に注意が必要です。感染した際の出席停止についてですが、学校保健安全法には通学・登園に関する定めはありません。
そのため、担当の医師などの指示に従う必要があります。基本的には、咳などが安定して、体の調子がよくなったら通学・登園は可能です。
手洗い・うがいを徹底してヒトメタニューモウイルスを予防しよう
ヒトメタニューモウイルス感染症は、インフルエンザウイルスなどと比較すると知名度は低いです。しかし、子どもの肺炎などの原因としては一般的です。子どもだけでなく、ウイルスに対する抵抗力が低下している高齢者では重症化する恐れがあるため、大人でも軽視できません。
ワクチンなどは開発されていないため、基本的な感染予防が大切です。特に春の流行時期は手洗い・うがいなどを徹底して感染を防ぎましょう。
気になる症状がある場合は、蒲田駅東口クリニックにご相談ください。