咳喘息
咳喘息とは
まずは咳喘息の概要と典型的な気管支喘息との違いを解説します。
長引く頑固な咳が特徴である
咳喘息とは、痰がからまない咳のみが出現する喘息の一種です。咳喘息は喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音が聞こえる症状)や息苦しさをともなわないのが特徴です。痰があったとしても非膿性(ひのうせい)のものが少量みられる程度です。
基本的に呼吸の機能は正常で、軽度に気道が過敏になっている状態です。風邪を引いたあとに咳のみが続き、咳喘息を発症することもあります。
咳喘息は成人では女性に多い病気です。咳喘息は放置すると、1/3が典型的な気管支喘息に移行するリスクがあるため、早期に治療する必要があります。
咳喘息と気管支喘息の違い
咳喘息と気管支喘息の違いは下記の通りです。
咳喘息 | 出現する症状は、痰がからまない継続した咳のみで、息苦しさや喘鳴はともなわない |
---|---|
気管支喘息 | 発作的な咳や喘鳴、息苦しさが出現する |
どちらも深夜から早朝にかけて悪化しやすいのが特徴です。
咳喘息の症状とチェックリスト
咳喘息の特徴的な症状は下記の通りです。
- 風邪を引いたあとに咳だけがいつまでも残っている
- 痰のからまない咳が8週間以上続いている
- 喘鳴や息苦しさをともなわない
- 気管支拡張の吸入薬で改善する傾向がある
軽い咳から始まり徐々に悪化するケースや、突然激しい咳が出現する人もいます。上記の症状をチェックリストとして、疑われる場合は早めに受診しましょう。
咳喘息の原因
咳喘息を発症するきっかけは、アレルギー反応や風邪による上気道の炎症などさまざまです。咳喘息の具体的な原因は下記の通りです。
- 細菌・ウイルス
- 空気中のダニ
- 冷たい空気
- 動物の皮膚
- 喫煙・受動喫煙
- 天候の変化
- 湿度の上昇
- 花粉や黄砂
花粉の時期に毎年長引く咳が出現する方は、咳喘息の可能性が考えられます。
咳喘息の検査方法
咳喘息の疑いがある方には、呼吸音の聴診の他に下記のような検査を実施します。
検査名 | 詳細 |
---|---|
胸部レントゲン検査・CT検査 | X線による画像検査。咳の症状の原因となる病気がないか調べる |
肺機能検査 | 口から出入りする空気の量を測定して肺の機能を調べる |
咳受容体感受性検査 (せきじゅようたいかんじゅせいけんさ) | 気道の感受性を調べる検査。カプサイシンを低濃度から少量ずつ吸入してどの濃度で咳が誘発するかを確認する |
気道過敏性検査 | 気道の収縮反応を調べる検査。気道収縮薬を低濃度から少量ずつ吸入して気道の状態を確認する |
血液検査 | アレルギーに関連する検査値が上昇していないかを確認する |
特に胸部レントゲン検査やCT検査は、肺炎や肺結核、肺がんなどの重大な病気が隠されていないかを確認するために重要です。
咳喘息の治療方法
咳喘息の治療は、吸入ステロイド薬が第一選択です。吸入ステロイド薬は気道の炎症を和らげ咳を起こさないようにする薬です。
下記のように重症度によって治療内容は異なります。
重症度 | 症状 | 治療薬 |
---|---|---|
軽症 | ・毎日咳は出現しない ・日常生活や睡眠を妨げるのは週1回未満 ・夜間の症状は週1回未満 | 中用量の吸入ステロイド薬 |
中等症以上 | ・毎日症状が出現する ・日常生活や睡眠の妨げが週1回以上ある ・夜間の症状は週1回以上ある | 中〜高用量の吸入ステロイド薬、または気管支拡張薬、抗アレルギー薬 |
「風邪により症状が悪化した」「吸入で咳が誘発される」「睡眠が妨げられる」場合は、頓服として短時間作用型の気管支拡張薬などで対応します。市販の風邪薬などはほとんど効果がないため注意が必要です。
咳喘息の予防方法
咳喘息の発症または悪化を予防するには、原因を除去する必要があります。具体的な方法は下記の通りです。
- 風邪を引かないように体調管理を徹底する
- ダニやカビなどのハウスダストを除去するためにこまめな掃除や換気をする
- 禁煙をする。
- 受動喫煙にも注意をする
- 花粉の時期はマスクの着用や手洗い、うがいを徹底する
- 冷たい空気やアレルギー物質の侵入を避けるために口呼吸はやめて鼻呼吸をする
上記のように可能なかぎり原因を除去して、咳喘息の発症や悪化を予防しましょう。
長引く咳は咳喘息の可能性も|早期に受診を検討しましょう
花粉の時期や風邪を引いたあとなどに、長引く咳が出現している場合は咳喘息の可能性があります。悪化すると、日常生活や睡眠の妨げになる可能性があるため注意が必要です。
また、咳喘息は放置すると典型的な気管支喘息に移行する可能性もあるため、早期に治療することが大切です。肺炎など咳の原因となる病気が隠れていないかを調べるためにも、早期に受診を検討しましょう。
気になる症状がある場合は、川崎駅東口内科クリニックにご相談ください。