内科

腎盂腎炎

腎盂腎炎

膀胱炎を経験したことのある方は多いと思います。
今回もまた膀胱炎になってしまった、と思っていたら熱もでてきて寒気が強い、、、
もしかしたら、それは腎盂腎炎に進んでしまっているかもしれません。
その場合、早めの医療機関の受診が必要です。

腎盂腎炎の症状

膀胱炎の症状を感じた後に(自覚しないこともあります)、

  • 発熱
  • 悪寒戦慄(寒くてカラダがガタガタふるえる)
  • 腰背部痛(背中や腹部の左右の重い感覚)
  • 吐き気

などの症状を伴います。
通常、膀胱炎(細菌が尿道を逆行して膀胱に入ってしまった状態)では発熱は見られません。
熱も出てきた場合は、腎盂腎炎を疑う必要があります。
入院が必要な場合もありますので、必ずご相談ください。
敗血症・菌血症といわれる状態(逆行した細菌が腎臓に到達して、全身の血流をぐるぐる回り悪さをする)では、ショック状態(血圧低下など)になるケースもありますので、注意が必要です。
原因菌は、膀胱炎と同様です。

腎盂腎炎の検査

尿検査尿潜血や白血球を調べます
血液検査炎症反応の程度や腎臓の数字などを調べます
超音波検査腎臓・膀胱をみます
水腎症や膿瘍の有無を観察します
培養検査(尿・血液)原因となっている菌を特定するための検査です

抗菌薬(抗生物質)を1回でも飲んでしまうと、培養検査に反応しなくなってしまうため、抗菌薬投与前に培養を取ることが重要です。
ご自身の判断で、自宅に余っている抗菌薬を飲んだりしないようにしましょう。
通常、培養検査まで必要と判断した場合は、入院設備もある病院をご紹介する場合があります。

腎盂腎炎の治療

抗生剤

重症度に応じて、外来治療か入院か判断します。
軽症〜中等症の場合:外来での治療を検討できます。
中等症〜重症、基礎疾患のある方、妊婦など:入院および点滴治療を検討します。
水腎症(腎臓がパンパンに腫れる)や膿瘍(腎臓周囲に膿の塊ができる)が見られるケースでは、迅速かつ的確に診断し、必要に応じて泌尿器科的処置(ドレナージなど)を入院先で要することがあります。

治療期間

原則、14日間です。
原因菌が培養の結果同定されたら、途中からより適切な抗菌薬に変更していきます(de-escalation)。

参考文献
  • Jack D Sobel and Donald Kaye. Urinary Tract Infections. Mandell, Douglas, and Bennett’s, Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition. 
  • Kalpana Gupta, et al. Clin Infect Dis 2011; 52: e103-e120 
  • Thomas M, et al. N Engl J Med 2012;366:1028-37
  • JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015