手足口病
夏に流行し、患者の8割は、5歳未満の子どもです(まれに大人も)。
2歳以下が半数を占めます。
原因となるエンテロウイルス ・コクサッキーウイルスは、アルコール消毒剤や熱に強く、集団感染することが問題になります。
潜伏期間は、3〜5日です。
ウイルスの細かい種類が多く、1シーズンに何回もかかってしまうことがあります。
ノドに水疱ができて高熱がでるヘルパンギーナも、同じウイルスが原因です。
CDC. MMWR. 2012;61:213-214
手足口病のポイント
- 手・足・口・おしり病 とおぼえよう
- 集団発生! 夏に流行するウイルス感染
- 登園・登校の一定の基準はありません
- 口内炎 ⇨ 水飲めない ⇨ 脱水に注意
- まれに髄膜炎を合併
子どもの三大夏かぜ
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
- プール熱(咽頭結膜熱)
手足口病の症状
手・足・口・おしり、 他にも膝(ひざ)や肘(ひじ)などに水疱ができます。
おしりの水疱が一番目立つことも。
数日間の熱が出るときもありますが、38度以下のことがほとんどです。
水疱はやぶれて浅い潰瘍になり、1週間ほどで消えますが、ときに痛みます。
かさぶたにはならず、皮がむけたり、1〜2ヶ月後に爪がはがれてくることがありますが、キレイに治ります。
脱水は最も注意が必要です。
口の水疱がやぶれて口内炎ができると、とても痛く、お水すら飲めなくなってしまうことがあるためです。
まれにウイルスが脳や心臓に影響して、髄膜炎・脳炎、急性心筋炎といった重症な病気を合併することがあります。
手足口病の治療
ウイルス感染なので、特効薬はありません。
自分の免疫力で7〜10日ほどで治っていきます。
薬は痛みや熱をやわらげるために使われます。
Brittany Cox, et al. JAMA. 2018;320(23):2492. doi:10.1001/jama.2018.17288
一番注意するのは脱水です。
口内炎が痛くても、なんとか水分をとる工夫をしましょう。
熱いものやノドに刺激があるものではなく、冷たくてさらっと飲みやすい / 食べやすいものをとりましょう。お水、お茶、牛乳などでも良いですし、脱水気味の時は、OS-1のようなイオン飲料水が良いでしょう。
手足口病の予防
ワクチンはありません。最も効果的な予防は、
感染している人となるべく接触しない、よく手を洗う、汚染されたものを触らない、ということです。
Brittany Cox, et al. JAMA. 2018;320(23):2492. doi:10.1001/jama.2018.17288
登園・登校について
何日休むかは、症状によるため一定の基準はありません。
症状が回復した後も、ウイルスが4週間ほど便から出続けます。
そのため、急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができません。
手足口病は基本的には軽症の病気であり、集団としての問題は少ないため、発疹だけの子どもに長期の欠席を強いる必要はなく、また現実的ではありません。
なので、登園・登校するタイミングはご本人の体調で決めます。
当院では、熱が無くなり、脱水にならない範囲で飲水・飲食ができるようになれば、登園・登校できると判断しています。